「また同じような問題が起きた…」 「なんでこんなに問題ばかり起こるんだろう?」 「問題のことを考えていると、だんだん気持ちが重くなってくる」
こんな経験はありませんか?
実は、多くの人が 「問題」ばかりに注目してしまう ために、解決から遠ざかってしまっています。でも、視点を少し変えるだけで、同じ状況でも全く違った結果を生み出すことができるのです。
この記事では、問題に囚われることなく、解決に向かって自然と進んでいける 「解決フォーカス思考」 の具体的な方法を分かりやすく解説します。
問題フォーカス vs 解決フォーカス
問題フォーカス思考とは
問題フォーカス思考の特徴:
- 何が悪いのかばかり考える
- 誰が悪いのかを探してしまう
- なぜこうなったのか原因ばかり追求する
- 問題について話している時間が長い
- 問題を考えれば考えるほど、気持ちが暗くなる
問題フォーカスの会話例(飲食店): 「また今日もお客さんが少なかった…」 「なんで近所に新しいお店ができたんだろう」 「材料費も上がって、人件費も上がって…」 「この立地が悪いのかな」 「やっぱりうちのメニューに魅力がないんだ」
解決フォーカス思考とは
解決フォーカス思考の特徴:
- どうしたら良くなるかを考える
- 今あるものをどう活かすかを考える
- 小さな改善から始めようとする
- 可能性について話している時間が長い
- 解決について考えると、やる気が湧いてくる
解決フォーカスの会話例(飲食店): 「今日は少なかったけど、来てくれたお客さんがとても喜んでくれた」 「新しいお店ができたということは、この地域に注目が集まっているんだ」 「この機会に、うちならではの特色を出していこう」 「立地を活かして、どんなサービスができるかな」 「お客さんが『また来たい』と思ってくれるメニューを考えよう」
なぜ問題フォーカスになってしまうのか
人間の脳の自然な反応
脳は危険を察知するのが得意: 人間の脳は、太古の昔から 「危険なもの」に注目する ようにできています。これは生き残るために必要な能力でした。
現代での問題:
- 昔は「危険に注目」=「生き残る」だった
- 現代では「問題に注目」=「解決から遠ざかる」になってしまう
問題フォーカスの悪循環
問題を考える → 気持ちが暗くなる → やる気が下がる →
行動しなくなる → 問題が悪化する → さらに問題を考える
この悪循環にハマってしまうと、なかなか抜け出せなくなってしまいます。
解決フォーカス思考の5つのテクニック
テクニック1:「IF魔法」質問法
基本の質問: 「もし魔法があって、この問題が完全に解決されたとしたら、どんな状態になっているだろう?」
使い方のコツ:
- できるだけ具体的にイメージする
- 制限をつけずに、理想的な状態を描く
- 五感を使って、リアルに想像する
飲食店での実践例: 問題:「お客さんが少ない」 ↓ IF魔法質問:「もし魔法で理想的な状態になったら、どんなお店になってる?」 ↓ 答え:「お客さんが笑顔で楽しそうに食事している。『美味しかった』『また来たい』という声がたくさん聞こえる。スタッフも楽しそうに働いている。地域の人が『あのお店に行こう』と言ってくれる」
美容室での実践例: 問題:「リピート率が低い」 ↓ IF魔法質問:「もし魔法で理想的な状態になったら?」 ↓ 答え:「お客さんが鏡を見て『すごく素敵!』と感動している。『次回もお願いします』と言ってもらえる。お客さんが友達に『いい美容室を見つけた』と紹介してくれる」
テクニック2:「例外探し」法
基本の考え方: 問題が「いつも」起こっているわけではない。うまくいった時もあるはず。その例外を見つけて、活かす方法を考える。
例外探しの質問:
- 「最近、ちょっとでもうまくいったことはない?」
- 「前に、お客さんがすごく喜んでくれたことがあったよね?」
- 「調子が良かった時期があったけど、その時は何をしていた?」
飲食店での実践例: 問題:「売上が下がっている」 ↓ 例外探し:「先週、売上が良かった日があったよね。その日は何が違った?」 ↓ 発見:「その日は、新しいメニューを試していた。お客さんが興味深そうに見ていた」 ↓ 解決アイデア:「新しいメニューをもっと工夫して、定期的に試してみよう」
テクニック3:「小さな一歩」法
基本の考え方: 理想的な解決状態に向かって、今日できる小さな一歩を考える
小さな一歩の条件:
- 今日または明日にできること
- お金がほとんどかからないこと
- 失敗してもダメージが少ないこと
- 30分以内でできること
美容室での実践例: 理想状態:「お客さんがもっと満足してくれる」 ↓ 小さな一歩:「今日から、お客さんが帰るときに『今日の仕上がりはいかがですか?』と必ず聞いてみよう」
テクニック4:「リソース発見」法
基本の考え方: 問題を解決するために、今すでに持っているもの(リソース)を見つけて活用する
リソースの種類:
- 人的リソース: スタッフ、お客さん、家族、友人、取引先
- 物的リソース: 設備、道具、立地、商品
- 情報リソース: 知識、経験、ノウハウ
- 時間リソース: 空いている時間、効率化できる時間
飲食店での実践例: 問題:「新メニューのアイデアが浮かばない」 ↓ リソース発見:
- 人的:「常連のお客さんは、いつも美味しそうに食べてくれる。アドバイスをもらえるかも」
- 物的:「冷蔵庫にある材料で、何か新しい組み合わせができないかな」
- 情報:「以前作って好評だったメニューの作り方を応用できないかな」
- 時間:「お昼の空いている時間に、試作してみよう」
テクニック5:「成功体験活用」法
基本の考え方: 過去の成功体験から学んで、今の問題解決に活かす
成功体験活用の手順:
- 過去にうまくいった経験を思い出す
- その時、何をしていたかを詳しく思い出す
- その方法を今の状況に応用できないか考える
美容室での実践例: 問題:「新しい技術がなかなか上達しない」 ↓ 成功体験思い出し:「以前、カット技術を覚えたときは、毎日少しずつ練習して、先輩にアドバイスをもらっていた」 ↓ 応用:「新しい技術も、毎日15分ずつ練習して、うまい人に教えてもらおう」
解決フォーカス思考を習慣にする方法
朝の習慣:「今日の解決フォーカス」設定
朝起きたときに自分に質問:
- 「今日、どんな小さな改善ができるかな?」
- 「今日、お客さんにどんな喜びを提供できるかな?」
- 「今日、どんな良いことが起こりそうかな?」
昼の習慣:「例外探し」タイム
お昼休憩時に振り返り:
- 「午前中、ちょっとでも良かったことは何だろう?」
- 「お客さんの良い反応があったことは?」
- 「うまくいったことから、何を学べるかな?」
夜の習慣:「明日の小さな一歩」計画
一日の終わりに計画:
- 「今日の良かったことを明日も続けるには?」
- 「明日、試してみたい小さな改善は何だろう?」
- 「明日、どんな解決フォーカスで過ごそうかな?」
実践事例:解決フォーカスで劇的改善
飲食店の事例:客足減少を新しいチャンスに変える
Gさん(カフェ)の場合:
問題フォーカス時代: 「コロナでお客さんが減った。立地も悪いし、競合も多い。もうだめかもしれない…」
解決フォーカスへの転換:
IF魔法質問: 「もし理想的な状態になったら、どんなカフェになってる?」 →「お客さんがゆっくりくつろげて、ここに来ると心が落ち着くと言ってもらえるカフェ」
例外探し: 「お客さんが喜んでくれた時があったよね?」 →「手作りケーキを出した時、『ほっとする味』と言ってもらえた」
小さな一歩: 「今日から、手作りケーキの種類を増やして、温かい雰囲気作りに力を入れよう」
結果(6ヶ月後):
- 「心が落ち着くカフェ」として地域で評判に
- 手作りケーキが名物になり、客単価20%アップ
- 常連客が友人を連れて来店するように
- 「問題があったからこそ、本当に大切なことに気づけた」
美容室の事例:技術不安を成長エンジンに変える
Hさん(美容室)の場合:
問題フォーカス時代: 「新しい技術が覚えられない。お客さんに満足してもらえているか不安。他の美容師と比べて自分は下手かもしれない…」
解決フォーカスへの転換:
IF魔法質問: 「もし理想的な状態になったら?」 →「お客さんが『この人に任せれば安心』と信頼してくれて、技術も接客も心から満足してもらえる美容師」
リソース発見: 「今、持っているものは何だろう?」 →「お客さんの話をしっかり聞くのが得意。細かいところまで気を配れる。向上心がある」
成功体験活用: 「以前、お客さんに特に喜ばれた時は?」 →「時間をかけてカウンセリングして、ライフスタイルに合った髪型を提案した時」
小さな一歩: 「今日から、カウンセリング時間をもっと大切にして、お客さん一人一人に合った提案をもっと丁寧にしよう」
結果(1年後):
- 「話しやすくて、提案が的確」な美容師として評判に
- お客さんからの指名率90%を達成
- 新技術も「お客さんのため」という目的があることで習得が早くなった
- 「不安があったから、お客さんを大切にすることに集中できた」
解決フォーカス思考の注意点
注意点1:問題を完全に無視しない
大切なバランス:
- 問題があることは認識する
- でも、問題について考える時間は最小限にする
- 解決について考える時間を最大限にする
注意点2:現実的な解決策を考える
避けるべきこと:
- 非現実的すぎる理想ばかり描く
- 今すぐできないことばかり考える
心がけること:
- 今の状況から一歩ずつ改善していく
- 小さくても確実に実行できることから始める
注意点3:周りの人も巻き込む
一人だけでなく:
- スタッフにも解決フォーカス思考を伝える
- お客さんとも「どうしたらもっと良くなるか」を一緒に考える
- みんなで解決に向かうチームを作る
まとめ:視点を変えれば世界が変わる
問題フォーカスから解決フォーカスへの転換は、同じ現実を全く違う角度から見る ことです。
重要なポイント:
- IF魔法で理想を描く – 制限をつけずに理想的な状態を想像する
- 例外を見つけて活用 – うまくいった経験から学ぶ
- 小さな一歩から始める – 今日できることから行動する
- 持っているリソースを活用 – 今あるものを最大限に使う
- 成功体験を応用 – 過去の成功パターンを今に活かす
今日から始められること: 何か問題や困ったことがあったとき、「この問題をどう解決しよう?」ではなく、「理想的な状態になったら、どんな感じだろう?」と考えてみてください。きっと今まで見えなかった可能性が見えてくるはずです。
あなたも今日から、解決フォーカス思考で、理想の未来を創り出してください。
次のステップ
解決フォーカス思考を身につけたら、次は「できない理由」を考えることの問題について学びましょう。
次の記事「『できない理由』を考える人が絶対に成功しない理由」では、なぜ多くの人が行動できないのか、そして行動力を身につける方法について詳しく解説します。
今日のアクション: 今すぐ、最近気になっている問題を1つ思い浮かべてください。そして「もし魔法があって、この問題が完全に解決されたとしたら、どんな状態になっているだろう?」と考えて、できるだけ具体的に想像してみてください。その理想的な状態に向かって、今日できる小さな一歩を1つ決めて、実行してみてください。
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