なぜ「5分+10分」という時間配分なのか?
前回、15分の振り返り習慣についてお話ししましたが、「具体的にどう時間を使えばいいの?」という質問を多くいただきました。
実は、この15分の使い方には「黄金比率」があります。
5分振り返り+10分明日準備 = 最大効果
今日は、この時間配分の秘密と、具体的な実践方法を詳しくお伝えします。
脳科学が解明した「記憶の黄金比率」
人間の脳には、興味深い特性があります。
記憶の定着時間
- 短期記憶→長期記憶への移行:約5分
- 未来計画の最適思考時間:約10分
つまり、5分で今日の記憶を定着させ、10分で明日の計画を脳に刷り込むのが、最も効率的なのです。
ある焼き鳥店店主の発見
焼き鳥店「鳥心」の店主・佐藤さん(仮名)は、最初は「振り返り10分+準備5分」でやっていました。
ところが、なかなか続かない…
そこで「5分+10分」に変更したところ:
変化前(10分+5分):
- 振り返りが長すぎて疲れる
- 明日の準備が雑になる
- 「面倒くさい」と感じて続かない
変化後(5分+10分):
- 振り返りがスッキリ終わる
- 明日の準備に集中できる
- 「これなら続けられる」と実感
「時間配分を変えただけで、こんなに楽になるとは思いませんでした」と佐藤さん。
5分振り返りの「3・2・1法則」
5分間を効率的に使うには、時間配分が重要です。
3分:成功体験の記録
「今日うまくいったこと」を3つ
例(カフェの場合):
- 新作のパンケーキが完売(3分30秒で売り切れ!)
- 常連のAさんから「いつも美味しい」とお褒めの言葉
- スタッフのBさんが自主的に新しいメニュー提案
ポイント: できるだけ具体的に、数字や会話を交えて記録
2分:改善点の整理
「明日改善したいこと」を2つ
例:
- オーダーから提供まで5分かかった→3分に短縮したい
- 15時頃にコーヒー豆が切れた→在庫管理を見直したい
ポイント: 批判ではなく「明日はこうしよう」という前向きな改善案で記録
1分:持ち越し事項の確認
「明日に持ち越すこと」を1つだけ
例:来週の新メニュー試作
ポイント: 1つだけに絞ることで、集中力を分散させない
10分明日準備の「5・3・2法則」
続いて、10分間の明日準備の時間配分です。
5分:最優先タスクの決定と詳細化
明日の最重要タスク3つを決めて、具体的に書く
例(美容室の場合):
- 新人スタッフの技術チェック
- 時間:10:00-11:00
- 内容:カット基本技術(レイヤー)
- 準備物:練習用ウィッグ、チェックシート
- 春キャンペーンのPOP作成
- 枚数:A4サイズ 5枚
- 設置場所:受付、待合、各席、入口、レジ前
- デザイン:桜をモチーフにしたピンク系
- 材料発注(シャンプー・トリートメント)
- 発注先:A社、B社
- 種類:シャンプー3種、トリートメント2種
- 納期確認:今週金曜日まで
3分:必要物の準備確認
明日すぐに作業開始できるよう、必要なものをチェック
- チェックシートは事務机の引き出しに準備済み ✓
- POP用マーカーとスケッチブック購入必要 ✗
- 発注書のテンプレートはパソコンに保存済み ✓
不足しているものは、今すぐ準備または明日一番に準備
2分:スタッフへの指示・連絡事項
明日スタッフに伝えることを整理
- Cさん:新人技術チェックの立ち会いお願い(10:00-11:00)
- Dさん:お客様アンケート回収を優先的に
- 全員:明日は材料の在庫確認を各自でお願いします
実際のタイムスケジュール例
20:00-20:05【5分振り返り】
20:00-20:03(3分) 今日うまくいったこと3つをフィニッシュノートに記録
20:03-20:05(2分) 改善点と持ち越し事項を整理
20:05-20:15【10分明日準備】
20:05-20:10(5分) 明日の最優先タスク3つを詳細に決定
20:10-20:13(3分) 必要物の準備状況をチェック
20:13-20:15(2分) スタッフへの指示事項をメモ
20:15 完了!明日への準備万端
よくある失敗パターンと対策
失敗パターン1:時間を計らずにやってしまう
対策: スマホのタイマーを必ず使う
- 5分タイマー→10分タイマーの2段階設定
失敗パターン2:完璧を求めすぎる
対策:「80%の出来で良し」とする
- 完璧を求めると時間オーバーして続かない
失敗パターン3:ネガティブな振り返りに時間をかけすぎる
対策: 改善点は2つまでと決める
- 反省より「明日どうするか」にフォーカス
レベルアップ技:曜日別カスタマイズ
慣れてきたら、曜日によって重点を変えるのも効果的です。
月曜日:週全体の計画重視
- 10分準備のうち3分を「今週の目標確認」に使う
金曜日:週振り返り重視
- 5分振り返りのうち2分を「今週の総括」に使う
土日(定休日前):翌営業日の準備重視
- 10分準備のうち5分を「休み明けの段取り」に使う
デジタル活用でさらに効率化
音声メモ活用法
準備中や移動中に音声で記録
- 「今日のうまくいったこと。新メニューの売れ行き好調。理由は…」
- 後でテキスト化する必要がなく、その場で完了
テンプレート活用法
スマホに定型文を保存
【5分振り返り】
✓成功1:
✓成功2:
✓成功3:
✓改善1:
✓改善2:
✓持越し:
【10分準備】
①優先1:
②優先2:
③優先3:
必要物:
指示事項:
今日から始める「黄金ルーティン」3ステップ
ステップ1:今夜、タイマーを使って実践
スマホのタイマーを5分にセットして、振り返りから始めてみてください。
ステップ2:10分準備を丁寧に行う
振り返りが終わったら、10分タイマーをセットして明日の準備を行います。
ステップ3:明日の朝の違いを体感する
明日の朝、いつもより迷いなくスタートできることを実感してください。
まとめ:黄金比率が生む魔法の効果
5分振り返り+10分明日準備の黄金ルーティンは、単なる時間管理術ではありません。
5分で今日の学びを脳に定着させ、 10分で明日の成功シナリオを脳に刷り込む、
脳科学に基づいた成功習慣なのです。
この15分の投資が、翌日の生産性を2倍、3倍に高めてくれます。
今夜から、ぜひこの黄金ルーティンを始めてみてください。1週間後には、その効果に驚くはずです。
次回は「朝の迷いをなくすスムーズスタート法」について、朝の時間を最大活用する方法をお伝えします。
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