週次・月次・四半期の振り返りシステム

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目次

なぜ同じ失敗を繰り返してしまうのか?

「また今月も同じ失敗をしてしまった…」 「去年と同じ時期に同じ問題が発生している」 「頑張っているつもりなのに、成長している実感がない」

多くの店舗経営者が、こんな悩みを抱えています。

実は、これらの問題には共通の原因があります。 「振り返りの習慣がない」 ことです。

今日は、継続的な成長を実現する「3層構造の振り返りシステム」をお伝えします。

「振り返らない経営者」が陥る3つの罠

罠1:同じ失敗の繰り返し

例: 毎年12月に「今年も忙しすぎて新メニュー開発ができなかった」と嘆く

罠2:成長の実感が湧かない

例: 実際には売上が20%向上しているのに「全然成長していない」と感じる

罠3:偶然の成功を再現できない

例: たまたま大ヒットしたメニューがあっても、なぜヒットしたのかわからない

居酒屋オーナーの気づきストーリー

居酒屋「和楽」のオーナー・山田さん(仮名)は、5年間同じような売上で停滞していました。

振り返りシステム導入前(5年間の停滞)

年間パターン:

  • 春:「今年こそ売上アップ!」と意気込む
  • 夏:「忙しくて何もできない」
  • 秋:「忙しくて何もできない」
  • 冬:「今年も何もできなかった…」

結果: 5年間、売上も利益も横ばい

振り返りシステム導入後(劇的変化)

導入した振り返り:

  • 週次振り返り:毎週月曜30分
  • 月次振り返り:毎月1日60分
  • 四半期振り返り:3・6・9・12月の第1土曜日120分

1年後の結果:

  • 売上:前年比118%
  • 利益:前年比125%
  • 新メニュー:年間12品開発(前年は0品)

山田さんの感想:「振り返りなんて面倒だと思っていましたが、これほど効果があるとは…。同じ失敗をしなくなっただけで、こんなに変わるんですね。」

週次振り返り:「小さな軌道修正」の習慣

週次振り返りは、 「小さなズレを早期発見する」 ためのシステムです。

週次振り返りの3つのポイント

ポイント1:時間は30分以内

長時間やると疲れて続きません。短時間で集中して行います。

ポイント2:数字より感覚を重視

細かい数字分析は月次で行い、週次では「感覚的な気づき」を大切にします。

ポイント3:改善アクションは1つだけ

複数の改善を同時に行うと効果がわからなくなります。

週次振り返りの質問リスト

質問1:今週うまくいったことは?(3つ)

カフェの例:

  1. 新作のパンケーキが予想以上に好評だった
  2. 雨の日でも客数を維持できた
  3. スタッフが自主的に店内装飾を改善してくれた

質問2:今週うまくいかなかったことは?(2つ)

カフェの例:

  1. 夕方の時間帯の客数が少なかった
  2. コーヒー豆の仕入れタイミングが遅れた

質問3:来週改善したいことは?(1つ)

カフェの例: 夕方限定の「お疲れ様セット」を試験導入してみる

美容室での週次振り返り実例

美容室「Salon Grace」の週次振り返りシート:

【第2週振り返り(4/8-4/14)】

✓うまくいったこと
1. 新人スタッフの技術が急速に向上
2. Instagram投稿の反応が良好
3. 既存客からの紹介が3件

✓うまくいかなかったこと
1. 予約の空きが平日午前に集中
2. 新商品のトリートメントの売れ行きが鈍い

✓来週の改善アクション
平日午前の利用促進キャンペーンを検討

月次振り返り:「戦略的な学び」の時間

月次振り返りは、 「数字に基づいた戦略的な分析」 を行います。

月次振り返りの4つのステップ

ステップ1:数字の確認(15分)

確認項目:

  • 売上・客数・客単価の実績
  • 前月・前年同月との比較
  • 利益率・コスト構造の変化
  • 新規・リピート客の割合

ステップ2:成功要因の深掘り(15分)

分析方法:

  • 数字が良かった日/悪かった日の要因分析
  • お客様の反応が良かったメニュー/サービス
  • スタッフの行動で効果があったもの

ステップ3:問題の根本原因分析(15分)

「なぜ」を3回繰り返す:

  • 問題:夕方の客数が少ない
  • なぜ?→夕方向けのメニューがない
  • なぜ?→夕方の需要を調査していない
  • なぜ?→お客様との会話が少ない

ステップ4:来月のアクション決定(15分)

ルール:

  • 新しく始めること:2つまで
  • やめること:1つ以上
  • 改善すること:1つ

ラーメン店での月次振り返り実例

ラーメン店「麺心」の3月振り返り:

【3月振り返り】

■数字確認
売上:385万円(目標370万円、前年同月比108%)
客数:1,120名(前月比105%)
客単価:3,438円(前月比102%)

■成功要因
・限定メニュー「春野菜ラーメン」が大好評
・Instagram投稿を週3回に増やした効果
・スタッフの接客態度向上(お客様アンケート結果)

■問題と根本原因
問題:平日昼の空席率が高い
→会社員の客層が少ない
→ランチタイムのアピール不足
→オフィス街への宣伝不足

■来月のアクション
始める:オフィス街でのランチメニューチラシ配布
やめる:効果の薄い雑誌広告
改善:ランチメニューの価格見直し

四半期振り返り:「戦略の見直し」の機会

四半期振り返りは、 「3ヶ月間の総括と戦略の見直し」 を行う最も重要な振り返りです。

四半期振り返りの5つのセクション

セクション1:数値の総括(30分)

3ヶ月間の数値を総合的に分析:

  • 売上推移のトレンド
  • 季節要因の影響
  • コスト構造の変化
  • 競合店の影響

セクション2:戦略の効果検証(30分)

この3ヶ月で実施した戦略の効果測定:

  • 新メニュー開発の成果
  • 集客施策の効果
  • スタッフ教育の成果
  • 設備投資の効果

セクション3:市場環境の変化(20分)

外部環境の変化を整理:

  • 競合店の動向
  • 地域の変化(新しい施設、道路工事など)
  • 顧客ニーズの変化
  • 業界全体のトレンド

セクション4:次四半期の戦略策定(30分)

今後3ヶ月の重点施策を決定:

  • 最重要目標(1つ)
  • 重要施策(3つ)
  • やめること(2つ)
  • 新しく挑戦すること(1つ)

セクション5:年間計画の修正(10分)

年間計画との整合性確認:

  • 年間目標達成の可能性
  • 必要な軌道修正
  • 下半期への影響

カフェでの四半期振り返り実例

カフェ「Morning Glory」の第1四半期振り返り:

【第1四半期振り返り(1-3月)】

■数値総括
売上:780万円(目標比104%)
客数:2,340名(前年同期比112%)
新規客比率:35%(目標30%を上回る)

■戦略効果検証
成功:朝食メニュー強化→モーニング客数150%増
成功:Instagram強化→新規客流入大幅増
課題:夕方客数は依然として改善せず

■市場環境変化
・近隣にオフィスビル完成→昼間客層拡大
・競合カフェが1店閉店→客数増の一因
・テレワーク需要で長時間利用客増加

■第2四半期戦略
最重要:夕方客数の底上げ(月平均20名→35名)
重点施策:
1. 夕方限定ティータイムメニュー開発
2. 17-19時の学習・作業スペース提供
3. 夕方バイトスタッフの接客レベル向上

やめること:
1. 効果の薄い駅前チラシ配布
2. 利益率の低いランチセット

新挑戦:テイクアウト専用窓口の設置検討

3層振り返りの相乗効果

週次・月次・四半期の振り返りを組み合わせることで、以下の相乗効果が生まれます。

効果1:学習サイクルの高速化

  • 週次:小さな気づき
  • 月次:数字に基づく検証
  • 四半期:戦略レベルの修正

効果2:問題の早期発見

週次で感覚的に気づいた問題を、月次で数字で確認し、四半期で根本解決策を立てる

効果3:成功パターンの体系化

偶然の成功を見逃さず、再現可能な仕組みに変換

デジタルツールを活用した振り返り効率化

おすすめアプリ:Notion

メリット:

  • テンプレートで効率化
  • 過去データとの比較が容易
  • チーム共有も可能

テンプレート例:

## 週次振り返り

### うまくいったこと
- [ ] 項目1
- [ ] 項目2
- [ ] 項目3

### 改善点
- [ ] 項目1
- [ ] 項目2

### 来週のアクション
- [ ] 具体的なアクション1つ

アナログ派:専用ノート

3冊体制:

  1. 週次振り返りノート(薄いもの)
  2. 月次振り返りノート(中くらい)
  3. 四半期振り返りノート(厚いもの)

よくある挫折パターンと継続のコツ

挫折パターン1:時間をかけすぎる

対策: 時間制限を厳守

  • 週次:30分
  • 月次:60分
  • 四半期:120分

挫折パターン2:完璧を求めすぎる

対策:「70%の完成度で十分」という認識

挫折パターン3:振り返りで終わってしまう

対策: 必ず「次のアクション」を決める

今日から始める振り返り習慣3ステップ

ステップ1:今週の簡単振り返りを実施

今週うまくいったこと3つと、来週改善したいこと1つを書き出してください。

ステップ2:来週月曜日のリマインダー設定

「週次振り返り30分」のリマインダーをスマホに設定してください。

ステップ3:月次振り返りの日程確保

来月1日の夕方に「月次振り返り60分」の予定をカレンダーに入れてください。

まとめ:振り返りは「成長の加速装置」

振り返りシステムは、単なる反省会ではありません。

経営者としての「学習能力」を劇的に高める成長加速装置です。

週次で気づき、月次で検証し、四半期で戦略を練る。

この3層構造の振り返りを継続することで、あなたの店舗は確実に、そして急速に成長していきます。

今週から、ぜひこの振り返りシステムを導入してみてください。

半年後には、「こんなに学習能力が高まるとは思わなかった」と実感するはずです。


これで「実践管理と継続システム」の10記事が完成しました。次のカテゴリや特定の記事について、どのような内容をご希望でしょうか?

※本サイトに記載された店舗名と店主名は、個店情報のため仮名とさせていただいております。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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