はじめに:なぜ「今度こそは!」が続かないのか?
「今度こそダイエットを成功させる!」 「今度こそ早起きを習慣にする!」 「今度こそお店の改善を続ける!」
こんな風に意気込んだものの、気がつくと元の生活に戻ってしまった…そんな経験、ありませんか?
実は、継続できない人には共通する3つの特徴があります。そして、この特徴を知って対策を打てば、誰でも確実に継続できるようになります。
今日は、飲食店や美容室を経営する忙しいあなたでも、無理なく継続できる方法をお話しします。
特徴1:完璧主義で「100か0か」思考
この特徴を持つ人の行動パターン
計画段階
- 「毎日必ず6時に起きる」
- 「一日も欠かさず筋トレする」
- 「毎日新メニューを考える」
挫折パターン
- 1日できなかった → 「もうダメだ」
- 2日サボった → 「向いてないんだ」
- 週末に疲れてできなかった → 「やっぱり無理だった」
美容室オーナーAさんの失敗例 「技術向上のため、毎日営業後に1時間練習する」と決意。最初の1週間は続いたものの、忙しい日が続いて3日間できなかった途端、「自分には無理だ」と完全にやめてしまいました。
なぜ完璧主義が継続を阻むのか
完璧主義の人は、「継続 = 一度も失敗しないこと」だと勘違いしています。でも現実は違います。
継続の本当の定義 継続とは「中断してもまた始めること」です。
野球のイチロー選手も毎試合ヒットを打てるわけではありません。でも打席に立ち続けるから年間200本のヒットが打てるのです。
完璧主義への対策
対策1:「60%ルール」を採用する
完璧を目指すのではなく、60%できれば合格とします。
Before(完璧主義)
- 毎日必ず1時間勉強する
- 一度もサボってはいけない
- 100%の成果を求める
After(60%ルール)
- 週4日、30分勉強すればOK
- 体調不良や忙しい日はサボってもOK
- 60%でも続けていれば十分
対策2:「再開ルール」を決めておく
サボってしまった時の復帰方法を事前に決めておきます。
再開ルールの例
- 1日サボったら、翌日は半分の時間でもやる
- 3日連続でサボったら、最初からやり直す
- 週末にまとめて取り戻す時間を作る
対策3:「プロセス重視」に切り替える
結果ではなく、行動したことそのものを評価します。
結果重視(ダメな例)
- 「売上が上がらなかった」→ 失敗
- 「お客様が増えなかった」→ 失敗
プロセス重視(良い例)
- 「新しいメニューを考えた」→ 成功
- 「お客様との会話を増やした」→ 成功
特徴2:目標が大きすぎて現実離れしている
この特徴を持つ人の行動パターン
よくある大きすぎる目標
- 「来月から売上を2倍にする」
- 「今年中に支店を3店舗オープン」
- 「1ヶ月でスタッフ全員のスキルを向上させる」
挫折パターン
- 1週間で変化が見えない → やる気ダウン
- 1ヶ月で思うような結果が出ない → 諦める
- 周りからの反応が薄い → 「意味がないのでは?」
飲食店オーナーBさんの失敗例 「お客様満足度を1ヶ月で劇的に向上させる」と決意し、接客マニュアルを一新、メニューを大幅変更、店内装飾も全て変えました。しかし、変化が大きすぎてスタッフが混乱し、お客様からも「前の方が良かった」という声が。結局、1ヶ月後には元に戻してしまいました。
なぜ大きすぎる目標が失敗するのか
人間の脳は急激な変化を嫌い、元の状態に戻そうとします。これを「現状維持バイアス」と言います。
大きな目標の問題点
- 変化が大きすぎて抵抗が生まれる
- 結果が出るまで時間がかかり、モチベーションが続かない
- 失敗した時のダメージが大きい
大きすぎる目標への対策
対策1:「階段式目標設定」を使う
大きな目標を小さな段階に分けます。
大きな目標:客単価を3000円→4500円にアップ
階段式分解
- 第1段階(1ヶ月目):3000円→3200円(200円アップ)
- 第2段階(2ヶ月目):3200円→3500円(300円アップ)
- 第3段階(3ヶ月目):3500円→3800円(300円アップ)
- 第4段階(4ヶ月目):3800円→4200円(400円アップ)
- 第5段階(5ヶ月目):4200円→4500円(300円アップ)
対策2:「今日だけ頑張る」思考
遠い未来ではなく、今日一日だけに集中します。
Before(遠い未来思考)
- 「1年後には売上2倍にする」
- 「来年までには人気店になる」
After(今日だけ思考)
- 「今日は1人のお客様を笑顔にしよう」
- 「今日は新しいことを1つだけ試してみよう」
対策3:「実験マインド」を持つ
目標達成ではなく、実験として取り組みます。
目標マインド(プレッシャー大)
- 「絶対に成功させなければ」
- 「失敗は許されない」
実験マインド(気楽に挑戦)
- 「うまくいくかな?試してみよう」
- 「失敗しても学びになる」
特徴3:環境を整えずに「気合い」だけで頑張ろうとする
この特徴を持つ人の行動パターン
典型的な「気合い頼み」
- 「今度こそ気合いで続ける!」
- 「意志の力で乗り切る!」
- 「根性があれば何でもできる!」
挫折パターン
- 忙しい日が続くとサボりがちに
- 疲れている時は完全にストップ
- 気分に左右されて一貫性がない
美容室オーナーCさんの失敗例 「技術向上のため毎日カット練習をする」と決意。しかし、練習用具の準備、練習場所の確保、時間の設定など、環境整備を何もせずに「気合い」だけで始めました。結果、「今日は疲れたから明日やろう」が続き、1週間で挫折しました。
なぜ「気合い頼み」が失敗するのか
意志の力(ウィルパワー)は有限です。一日中お客様対応や経営判断で疲れた脳には、もう余力が残っていません。
意志の力が弱くなる瞬間
- 疲れている時
- ストレスを感じている時
- 決断を多く求められた後
- 空腹の時
- 睡眠不足の時
環境を整えない問題への対策
対策1:「仕組み化」で自動化する
意志の力に頼らず、自動的に行動できる仕組みを作ります。
仕組み化の例
勉強を習慣化したい場合
- Before:「時間ができたら勉強する」
- After:「レジ締めが終わったら必ず10分勉強する」
接客改善を習慣化したい場合
- Before:「気がついた時にお客様の名前を呼ぶ」
- After:「注文を取る時は必ず名前を確認して呼ぶ」
対策2:「環境設計」で継続しやすくする
継続したい行動をしやすい環境を作り、やめたい行動をしにくい環境を作ります。
環境設計の例
勉強を続けたい場合
- 勉強道具をすぐ手の届く場所に置く
- 勉強する場所を決めて、いつでも使えるようにしておく
- スマホなど気が散るものを遠ざける
健康的な食事を続けたい場合
- 健康的な食材を見える場所に置く
- お菓子は手の届きにくい場所に隠す
- 調理器具をすぐ使える状態にしておく
対策3:「習慣スタッキング」を活用する
既存の習慣に新しい行動をくっつけます。
習慣スタッキングの公式 「(既存の習慣)をした後に、(新しい習慣)をする」
実例
- 「レジを閉めた後に、今日の改善点を1つメモする」
- 「朝のコーヒーを飲んだ後に、今日の目標を確認する」
- 「最後のお客様を見送った後に、店内を1周チェックする」
継続成功のための具体的な戦略
戦略1:「20秒ルール」で環境を最適化
やりたい行動は20秒以内で始められるように、やめたい行動は20秒以上かかるようにします。
20秒ルールの例
勉強を始めやすくする
- 教材をデスクの上に出しっぱなしにする
- ペンとノートをセットで置いておく
- 照明のスイッチをすぐ押せる場所に座る
スマホを見る時間を減らす
- スマホを別の部屋に置く
- アプリを削除して、使うのに手間をかける
- スマホにロック時間を設定する
戦略2:「2分間ルール」で始める
どんな習慣も、最初は2分以内でできることから始めます。
2分間ルールの例
- 「読書する」→「本を1ページ読む」
- 「運動する」→「腕立て伏せを1回する」
- 「店内改善する」→「1つのテーブルをきれいに拭く」
戦略3:「if-thenプランニング」で継続力UP
「もし○○が起きたら、△△をする」という形で行動を事前に決めておきます。
if-thenプランニングの例
- 「もし忙しくて練習時間が取れなかったら、家で5分だけ技術本を読む」
- 「もし疲れてメニュー開発ができなかったら、他店のメニューを1つ研究する」
- 「もし新しい接客方法を忘れてしまったら、メモを見返す」
継続を支える心理的なコツ
コツ1:「進歩を見える化」する
小さな進歩でも、目に見える形で記録します。
見える化の方法
- カレンダーにシールを貼る
- アプリで記録をつける
- 写真で変化を記録する
- スタッフと進歩を共有する
コツ2:「完璧な日」より「失敗しない仕組み」
完璧を目指すより、失敗から立ち直る仕組みを作ります。
失敗対応の仕組み
- 1日サボったら、翌日は半分でもやる
- 3日連続でサボったら、友人に宣言してリスタート
- 週単位で調整して帳尻を合わせる
コツ3:「仲間の力」を借りる
一人で頑張るより、周りの人を巻き込みます。
仲間の作り方
- スタッフと一緒に取り組む
- 同業者仲間と情報交換する
- お客様に宣言して応援してもらう
- 家族に協力してもらう
よくある質問と解決法
Q: 継続のコツはわかったけど、どれから始めればいい? A: まず「2分間ルール」から始めてください。継続の感覚を掴むことが最も重要です。
Q: 何度も挫折していて自信がありません A: 過去の挫折は「やり方」の問題であって、「あなた」の問題ではありません。正しい方法を使えば必ず継続できます。
Q: 忙しすぎて継続する時間がありません A: 時間を作るのではなく、既存の行動に組み込んでください。「習慣スタッキング」が特に有効です。
Q: モチベーションが上がりません A: モチベーションは継続の結果として上がるものです。最初は仕組みに頼って、感情は後からついてくると考えてください。
まとめ:継続は技術、誰でも身につけられる
継続は特別な才能ではありません。正しい知識と適切な環境があれば、誰でも身につけられる技術です。
今日から実践できること
- 完璧主義をやめて、60%ルールを採用する
- 大きな目標を小さな階段に分ける
- 意志の力に頼らず、環境と仕組みを整える
- 2分間ルールで今日から始める
- if-thenプランニングで継続の準備をする
継続できるようになると、あなたのお店は確実に変わります。そして何より、「自分はやればできる」という自信が、経営者としてのあなたを大きく成長させるでしょう。
明日の朝、鏡に映る自分に「今日も続けよう」と言えるような、そんな習慣を一つ、今日から始めてみませんか?
継続は魔法ではありません。でも、継続した先に待っているものは、魔法のように素晴らしい変化です。その変化を、あなた自身の手で作り出してください。
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