売上目標を行動目標に変換する方法

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目次

はじめに:なぜ売上目標では失敗するのか?

「今年は月商500万円を目指そう!」

こんな目標を立てたことはありませんか?実は、この目標設定の仕方では、99%の確率で失敗してしまいます。

なぜなら、売上は自分でコントロールできないものだからです。

居酒屋を経営する山田さん(仮名)の例を見てみましょう。山田さんが「今日は売上30万円を達成するぞ!」と意気込んでも、実際にお客さんが来てくれるかどうか、何を注文してくれるかは、山田さんがコントロールできることではありません。

コントロールできることと、できないことの違い

❌ コントロールできないもの(結果)

  • 売上金額
  • 来店客数
  • お客さんの注文内容
  • 天候や外部環境
  • 競合店の動向

✅ コントロールできるもの(行動)

  • チラシを何枚配るか
  • POPを何枚作るか
  • SNSに何回投稿するか
  • 新メニューを何品開発するか
  • スタッフ研修を何時間するか

実例で学ぶ:売上目標→行動目標への変換術

【STEP1】理想の売上から逆算する

目標:月商を現在の400万円から500万円にアップ(100万円UP)

必要な分析

  • 客単価:現在3,500円
  • 現在の月間来店客数:約1,140人
  • 目標達成に必要な客数:約1,430人(290人増)

【STEP2】客数アップのための具体的行動を考える

行動目標の例

集客活動

  • チラシ配布:月15,000枚(週3,750枚)
  • SNS投稿:毎日1回(月30投稿)
  • 食べログ写真更新:週2回(月8回)
  • 地域イベント参加:月1回
  • 紹介キャンペーン実施:四半期1回

客単価アップ活動

  • おすすめメニューPOP作成:月10枚
  • セットメニュー開発:月2品
  • スタッフ接客研修:月4時間
  • メニューブック改良:四半期1回

【STEP3】さらに具体的な日々の行動に落とし込む

毎日の行動目標

  • 開店前にチラシ125枚配布(15,000枚÷30日÷4人)
  • Instagram投稿1回(写真撮影含む)
  • 新規お客さんに必ず一品おすすめする

週単位の行動目標

  • POP作成:2〜3枚
  • 食べログ写真アップ:2回
  • スタッフミーティング:1時間

美容室経営者の実例

美容室「Hair Studio SAKURA」の佐藤さん(仮名)の事例をご紹介します。

従来の目標設定: 「月売上を200万円から300万円にする」

問題点

  • 何をすれば良いかわからない
  • 結果に一喜一憂してしまう
  • 達成できないとモチベーションが下がる

行動目標への変換後

新規集客

  • Instagram投稿:毎日2回(施術例+スタッフの日常)
  • ホットペッパービューティー写真更新:週3回
  • 紹介キャンペーン:常時実施
  • 地域情報誌への掲載:四半期1回

客単価・リピート率向上

  • カウンセリング時間:最低15分確保
  • ホームケア提案:全お客様に実施
  • 次回予約取得率:80%以上
  • スタッフ技術研修:月8時間

結果: 3ヶ月後、月売上が250万円に向上。さらに重要なのは、佐藤さん自身が「やるべきことが明確になった」と実感できたことです。

行動目標設定の5つのコツ

1. 数値化できるものにする

❌「頑張ってチラシを配る」 ✅「平日は毎日100枚、土日は200枚配る」

2. 期限を明確にする

❌「新メニューを開発する」 ✅「今月末までに3品の新メニューを完成させる」

3. 誰が見てもわかるようにする

❌「お客さんに親切にする」 ✅「会計時に必ず『ありがとうございました』と笑顔で言う」

4. 自分一人で完結できるものにする

❌「お客さんにSNSでシェアしてもらう」 ✅「シェアしたくなるような写真映えする盛り付けを心がける」

5. 毎日継続できる小さなことから始める

❌「月末に一気に300枚のチラシを配る」 ✅「毎日10枚ずつチラシを配る」

よくある質問&回答

Q: 行動目標を立てても、結果が出るかわからないのでは?

A: その通りです。しかし、行動しなければ結果は絶対に出ません。まずは行動量を増やし、効果を測定しながら改善していくことが重要です。

Q: 行動目標が多すぎて管理しきれません

A: 最初は3つ程度の重要な行動目標から始めましょう。慣れてきたら徐々に増やしていけば大丈夫です。

Q: スタッフがいる場合はどうすれば?

A: スタッフ全員で行動目標を共有し、役割分担を明確にします。例えば「Aさんは毎日のSNS投稿担当、Bさんは週2回の食べログ更新担当」のように。

まとめ:コントロールできることに集中しよう

売上は結果であり、私たちがコントロールできるのは「結果を生み出すための行動」だけです。

今日から始められる3つのアクション

  1. 現在の売上目標を書き出す
  2. その売上を達成するために必要な行動を10個リストアップする
  3. その中から今日できることを1つ選んで実行する

「月商500万円達成」という大きな目標も、「今日チラシを100枚配る」という小さな行動の積み重ねから始まります。

明日から、売上ではなく行動にフォーカスした経営を始めてみませんか?


次回予告:次回は「88シートと未来デザインマップの連携活用術」をお届けします。今回学んだ行動目標をより体系的に管理する方法をご紹介しますので、お楽しみに!

※本サイトに記載された店舗名と店主名は、個店情報のため仮名とさせていただいております。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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