なぜ家とお店の往復だけでは人生が変わらないのか?
毎日同じ道を通ってお店に向かい、同じ作業を繰り返し、同じ道を通って家に帰る。
そんな毎日を送っていませんか?
私がコンサルティングをしている飲食店や美容室の経営者の多くが、最初はこんな生活パターンに陥っています。朝7時に起きて、8時にお店に向かい、夜10時まで働いて、11時に帰宅してお風呂に入って寝る。休みの日も疲れて家でゴロゴロするか、お店の準備をするかで終わってしまう。
でも、これでは人生は絶対に変わりません。
なぜでしょうか?
答えは簡単です。同じ場所にいると、同じ発想しか生まれないからです。
RPGゲームの「経験値」システムに学ぶ人生戦略
あなたはRPGゲーム(ロールプレイングゲーム)をやったことがありますか?
ドラクエでもポケモンでも何でもいいのですが、ゲームの主人公は最初、村の周辺でスライムのような弱い敵を倒して経験値を稼ぎますよね。
でも、ずっと同じ場所にいても、いつまでたっても経験値は少ししか入りません。
強くなるためには、新しい場所に行って、新しい敵と戦う必要があるんです。
これ、人生もまったく同じなんです。
地元の居酒屋の大将が教えてくれた話
私の地元静岡に、50年間同じ場所で居酒屋を営んでいる大将がいます。
ある日、その大将がこんなことを言いました。
「浜田くん、俺はこの50年間、毎日同じメニューを作り続けてきた。でも、お客さんに『また同じ味だね』って言われるようになったんだ。そこで初めて気づいたよ。俺は50年間、同じ場所で同じことしかしてこなかった。だから新しいアイデアが浮かばないんだって」
その大将は70歳を過ぎてから、なんと月に1回は必ず知らない街に食べ歩きに行くようになりました。
すると、どうなったと思います?
3ヶ月後には、今まで作ったことのない新メニューを5品も開発していたんです。お客さんからは「大将、最近の料理、すごく美味しくなったね!」と言われるようになりました。
これが「地図を広げる」ということです。
なぜ新しい場所に行くと新しいアイデアが生まれるのか?
脳科学の研究によると、人間の脳は新しい刺激を受けると、普段使わない脳の領域が活性化することが分かっています。
簡単に言うと、新しい場所に行くと、脳が「おっ、何か新しいことが起きそうだぞ!」と活発に働き始めるんです。
実際に起こる3つの変化
1. 発想力が豊かになる
- 新しい店舗レイアウトのヒントを発見
- 今まで思いつかなかったメニューアイデアが浮かぶ
- 接客方法の新しいパターンを学ぶ
2. 比較検討力が身につく
- 「うちの店はここが良いな」
- 「あの店のこの部分は真似したいな」
- 「この価格設定は参考になるな」
3. 自信がつく
- 「うちの店も負けてないじゃん!」
- 「あの店にできるなら、うちにもできる」
- 「もっと上を目指せそうだ」
地図を広げる具体的な方法
レベル1:隣町探検作戦
まずは月に1回、隣町のお店を3軒回ることから始めましょう。
- 飲食店なら → 同業種2軒+異業種1軒
- 美容室なら → 同業種2軒+カフェや雑貨店1軒
大切なのは、必ずメモを取ること。
「いいな」と思ったポイントを3つ以上、スマホのメモでもいいので記録してください。
レベル2:県外遠征作戦
慣れてきたら、3ヶ月に1回は県外に足を伸ばす。
新幹線や飛行機で1時間以内の場所でいいんです。大阪、名古屋、東京、福岡、どこでもOK。
日帰りでも十分効果があります。
レベル3:海外体験作戦
年に1回は海外に行ってみる。韓国、台湾、ハワイ、グアムなど、近場で構いません。
「海外なんて高そう…」と思うかもしれませんが、韓国なら3万円程度で行けますし、その投資効果は計り知れません。
美容室オーナーMさんの劇的変化
私のクライアントである美容室オーナーのMさん(35歳・女性)の話をご紹介します。
Mさんは地方都市で美容室を経営していましたが、売上が頭打ちになって悩んでいました。
「新しいメニューを作りたいけど、アイデアが浮かばない」 「お客さんに飽きられている気がする」 「でも忙しくて勉強する時間もない」
そこで私が提案したのが「地図を広げる作戦」でした。
Mさんが実践した3つのステップ
ステップ1:月1回の都市部サロン巡り 車で1時間の県庁所在地の美容室を月1回必ず回る
ステップ2:3ヶ月に1回の東京視察 東京の話題のサロンを1日で3軒回る
ステップ3:年1回の海外研修 韓国のヘアサロンとトレンドをチェック
驚きの結果
6ヶ月後、Mさんのサロンに起こった変化:
- 新メニュー8種類を開発(韓国風カラーリング、都市部で人気のトリートメントなど)
- 客単価が3,500円→5,200円にアップ
- 3ヶ月先まで予約で埋まる人気店に
- スタッフのモチベーションも向上
Mさんは言います。
「最初は『余裕がないのに旅行なんて…』と思いました。でも実際に外に出てみると、井の中の蛙だった自分に気づきました。今では月1回の視察が楽しみで仕方ありません。まるで宝探しをしているような気分です」
なぜ多くの経営者が地図を広げないのか?
実は、地図を広げない理由は明確です。
3つの「ない」の壁
1. 時間がない 「忙しくて店を離れられない」
2. お金がない 「旅行代なんて余裕がない」
3. 必要性を感じない 「今のままでも何とかなっている」
でも、これらはすべて思い込みです。
真実はこうです
1. 時間について → 地図を広げることで得られるアイデアが、結果的に何倍もの時間を作り出す
2. お金について → 1回1万円の投資で100万円の売上アップにつながることも珍しくない
3. 必要性について → 現状維持は衰退と同じ。変化しない店は必ず淘汰される
地図を広げる時の3つのコツ
コツ1:目的を明確にする
ただの観光ではなく、必ず学習目的を持つ。
- 「新メニューのヒントを3つ見つける」
- 「接客の改善ポイントを2つ発見する」
- 「店舗レイアウトの参考を1つ得る」
コツ2:必ずアウトプットする
見たこと、感じたことを必ず記録し、1週間以内に何かを実行する。
どんなに小さなことでもOK。「挨拶の仕方を変える」「メニューの配置を変える」など。
コツ3:スタッフと共有する
一人で抱え込まず、スタッフと一緒に新しい発見を共有する。
「こんな面白い店があったよ」「この方法、うちでもやってみない?」
スタッフも刺激を受けて、新しいアイデアを出してくれるようになります。
地図を広げることで得られる5つの宝物
1. 無限のアイデア源泉
新しい場所に行くたびに、新しいアイデアが湧いてくる
2. 競合との差別化ポイント
他の店がやっていない独自の強みを発見できる
3. 自信と誇り
「うちの店も捨てたもんじゃない」という自信がつく
4. 広い人脈
旅先で出会った人たちとの貴重なつながりができる
5. 人生の豊かさ
仕事だけでなく、人生そのものが豊かになる
まずは来月、隣町に行ってみませんか?
「そんなこと言っても、実際は難しいよ…」
そう思った方にお伝えしたいことがあります。
最初は半日でいいんです。
来月の平日の午後、3時間だけ時間を作って、隣町の同業店を2軒回ってみてください。
きっと、今まで見えなかったものが見えてくるはずです。
そして、その3時間の投資が、今後の3年間を変えてくれることに気づくでしょう。
地図を広げる人生戦略。
あなたも今日から始めてみませんか?
次回予告 次回は「最終目標としての世界各地旅行企画の意味」について詳しくお話しします。なぜ私が受講生の皆さんと一緒に世界各地を旅行したいと考えているのか、その真の理由をお伝えします。
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