チーム全体で88シートを共有する効果

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目次

はじめに:一人の力vs.チームの力

「88シートを作ったけど、なかなか思うように進まない…」 「スタッフにも協力してもらいたいけど、どうやって巻き込めばいいかわからない」

こんな悩みを抱えていませんか?

実は、88シートの真の威力は「チーム全体で共有」したときに発揮されます。

今回ご紹介するのは、居酒屋「海鮮亭」の山本さん(仮名)が実践している「チーム88シート」の驚くべき効果です。山本さんのお店では、この方法を導入してから6ヶ月で:

  • 月商が420万円→580万円(138%UP)
  • スタッフの自主性が劇的に向上
  • 山本さん自身の労働時間が30%削減
  • スタッフの定着率が95%に向上

なぜこんな結果が生まれたのでしょうか?

個人88シートの限界

よくある一人88シートの問題点

❌ 問題1:社長だけが頑張る構造 88シートに書かれた64の行動を、社長一人で実行しようとして疲弊

❌ 問題2:スタッフの理解不足 なぜその行動が必要なのか、スタッフが理解していないため協力が得られない

❌ 問題3:目標の共有不足 社長の頭の中にある目標が、スタッフに伝わっていない

❌ 問題4:責任の所在が曖昧 「誰が何をやるのか」が明確でないため、結局誰もやらない

チーム88シートの革命的効果

【効果1】作業分散による効率化

従来(一人88シート): 社長が64の行動を一人で実行→時間不足で挫折

改善後(チーム88シート): 4人のスタッフで分担→一人あたり16の行動に

【効果2】当事者意識の向上

従来: 「社長に言われたからやる」受動的な姿勢

改善後: 「自分たちの目標だからやる」主体的な姿勢

【効果3】スキルの相互補完

例:Instagram投稿

  • 社長:写真は苦手だが文章は得意
  • スタッフA:写真撮影が趣味
  • スタッフB:トレンドに敏感

→ それぞれの得意分野を活かした役割分担

実例:居酒屋「海鮮亭」のチーム88シート

【中心目標】「月商580万円達成とスタッフ全員の成長」

【8つの要素】とチーム分担

1. 新規集客(担当:店長+バイトA)

  • チラシ配布:バイトA
  • SNS投稿:店長
  • 地域営業:店長
  • 口コミ対策:全員

2. 客単価UP(担当:ホール主任+バイトB)

  • おすすめメニュー提案:ホール主任
  • POP作成:バイトB
  • セット商品企画:全員で月1回会議
  • 接客スキル向上:ホール主任が指導

3. リピート率向上(担当:厨房主任+バイトC)

  • 料理品質管理:厨房主任
  • お客様情報管理:バイトC
  • 季節メニュー開発:厨房主任
  • アフターフォロー:バイトC

【役割分担の具体例】

店長(山本さん)の担当

  • 全体統括と進捗管理
  • 地域営業活動
  • SNS戦略立案
  • スタッフ教育計画

ホール主任の担当

  • 接客品質向上
  • 客単価UP施策実行
  • 新人教育
  • お客様満足度調査

厨房主任の担当

  • 料理品質管理
  • 新メニュー開発
  • 食材原価管理
  • 厨房効率化

アルバイトスタッフの担当

  • 日常的な集客活動(チラシ、SNS)
  • POP作成
  • お客様情報収集
  • 店舗清掃・環境整備

美容室「LILY」のチーム88シート成功事例

【背景】

スタッフ5名の美容室で、店長の佐々木さんが一人で集客活動に疲弊していた

【チーム88シート導入後の変化】

【中心目標】「地域No.1の顧客満足度とスタッフ全員のスキルアップ」

役割分担例

店長・佐々木さん

  • 全体戦略立案
  • 高単価メニュー開発
  • スタッフ技術指導
  • 経営数値管理

副店長・田中さん

  • Instagram運用(フォロワー数管理)
  • 新規客対応品質向上
  • スタッフシフト管理
  • 店舗環境整備

スタイリスト・鈴木さん

  • YouTube技術動画作成
  • トレンド情報収集・共有
  • お客様カウンセリング強化
  • ヘアケア商品販売

アシスタント・高橋さん

  • TikTok運用
  • 予約管理システム改善
  • お客様アンケート集計
  • 備品在庫管理

受付・山田さん

  • 電話対応品質向上
  • 次回予約取得率向上
  • お客様情報データベース管理
  • 地域情報収集

【3ヶ月後の成果】

  • 新規客数:月50人→80人(160%UP)
  • リピート率:70%→85%
  • スタッフのモチベーション大幅向上
  • 店長の残業時間50%削減

チーム88シート導入の5ステップ

【STEP1】ビジョン共有会議(2時間)

目的:全員で目標と意義を理解する

進行例

  1. 現状の課題を全員で洗い出し(30分)
  2. 理想の未来を全員で描く(30分)
  3. 88シートの仕組み説明(30分)
  4. 質疑応答と意見交換(30分)

重要ポイント

  • 一方的な説明ではなく、対話形式で進める
  • スタッフの意見を積極的に取り入れる
  • 「なぜこの目標が必要なのか」を丁寧に説明

【STEP2】役割分担決定会議(1.5時間)

進行例

  1. 8つの要素を全員で確認(15分)
  2. 各自の得意分野・興味分野を発表(30分)
  3. 役割分担を話し合いで決定(30分)
  4. 担当決定と責任範囲の確認(15分)

役割分担の原則

  • 得意分野を活かす
  • 成長したい分野にチャレンジさせる
  • 負担が一人に集中しないよう配慮
  • 必ず複数人でフォローし合う体制

【STEP3】具体的行動の決定(各担当30分×8回)

各担当者が自分の要素について

  • 8つの具体的行動を考案
  • 実行可能性を自己チェック
  • 他のメンバーからアドバイスを受ける

【STEP4】進捗管理システム構築(30分)

管理ツールの決定

  • 進捗共有方法(Slack、LINE、掲示板など)
  • 報告頻度(毎日、週1回、月1回など)
  • 数値管理方法(売上、客数、実行率など)

【STEP5】定期振り返り会議の設定(30分)

週次ミーティング:毎週○曜日○時(30分) 月次振り返り:毎月最終○曜日(1時間) 四半期見直し:四半期末(2時間)

チーム88シート成功の7つのコツ

1. 強制ではなく共感から始める

❌「会社の方針だから従ってください」 ✅「みんなでこんな店を作っていきませんか?」

2. 得意分野を活かした役割分担

❌「平等に分担する」 ✅「それぞれの強みを活かす」

3. 小さな成功を積極的に称賛

❌「できて当然」 ✅「ありがとう!おかげで○○が改善したよ」

4. 透明性のある進捗共有

❌「結果だけ報告」 ✅「プロセスも含めて共有」

5. 失敗を責めない文化作り

❌「なぜできなかったのか」 ✅「どうすればできるようになるか」

6. 定期的なコミュニケーション

❌「問題が起きてから話し合う」 ✅「定期的に状況を確認し合う」

7. 成果をチーム全体で分かち合う

❌「頑張った人だけが評価される」 ✅「チーム全体の成果として評価する」

よくある課題と解決策

【課題1】「うちのスタッフには無理」という先入観

解決策

  • 最初は簡単なものから始める
  • 強制ではなく、やりたい人から参加
  • 小さな成功体験を積み重ねる

【課題2】スタッフ間の温度差

解決策

  • 個別面談で不安や疑問を聞く
  • 役割を段階的に増やしていく
  • 積極的な人をリーダーにする

【課題3】忙しくて時間が取れない

解決策

  • 会議時間を短時間に設定(15分×2回/週)
  • 既存業務に組み込む
  • 効率化によって時間を創出

導入前後の変化:数値で見る効果

【居酒屋「海鮮亭」の場合】

売上面

  • 月商:420万円→580万円(+160万円)
  • 客単価:3,200円→3,800円(+600円)
  • 来店客数:1,312人→1,526人(+214人)

労働環境面

  • 店長労働時間:週65時間→週45時間(-20時間)
  • スタッフ定着率:75%→95%(+20ポイント)
  • 有給取得率:20%→80%(+60ポイント)

スタッフ満足度面

  • 仕事のやりがい:5段階中3.2→4.5
  • チームワーク:5段階中2.8→4.7
  • 成長実感:5段階中2.5→4.3

今週から始められる3つのアクション

【今日(30分)】

現在の88シートを見直し、「スタッフと一緒にできそうな行動」を5つピックアップ

【今週末(1時間)】

主要スタッフ1〜2名と「お店の理想の未来」について話し合う

【来週(2時間)】

全スタッフでのビジョン共有会議を開催する

まとめ:一人から仲間へ、個人戦からチーム戦へ

88シートは「社長の個人目標」ではありません。「チーム全体の成長目標」として活用することで、その真価を発揮します。

チーム88シートで得られるもの

  • 作業効率の飛躍的向上
  • スタッフの主体性と成長
  • 組織としての一体感
  • 持続可能な成長システム
  • 社長の負担軽減と余裕創出

「人手不足だから」「うちのスタッフには無理だから」と諦める前に、まずは小さな一歩から始めてみませんか?

スタッフ一人ひとりが輝き、全員で同じ目標に向かって進むチームを作ることができれば、あなたのビジネスは必ず次のステージに上がることができます。


次回予告:次回は「88シート完全制覇のためのスケジューリング」をお届けします。64の行動を確実に実行するための時間管理術と優先順位の付け方をお伝えしますので、お楽しみに!

※本サイトに記載された店舗名と店主名は、個店情報のため仮名とさせていただいております。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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