スタッフの特性を活かした仕事の作り方

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~「苦手な仕事」を「得意な仕事」に変える魔法の人材活用術~

「うちのスタッフ、みんな同じ仕事をさせてるけど、なんだか輝いてない…」

実は、すべてのスタッフに同じ仕事をさせるのは、とてももったいないことです。一人ひとりの特性を活かした仕事を作ることで、スタッフのモチベーションと店舗のパフォーマンスが劇的に向上します。

今日は、スタッフが「これなら得意!」と言える仕事の作り方をお教えします。

なぜ「一律同じ仕事」がダメなのか?

よくある「画一的運営」の問題点

多くの店舗で見られる光景:

美容室の場合:

  • 全員がカット・カラー・パーマすべてを担当
  • 接客スタイルも統一
  • 得意分野に関係なく同じローテーション

飲食店の場合:

  • 全員がホール・厨房両方を経験
  • 接客も調理も同じレベルを要求
  • 個性を活かす場がない

この運営方法の弊害:

  • スタッフのモチベーション低下
  • 得意分野を活かせないストレス
  • 結果的にサービス品質の平均化(凡庸化)
  • 離職率の増加

「特性を活かす」メリット

スタッフにとって:

  • 仕事にやりがいを感じる
  • 成長実感を得やすい
  • 自分らしさを発揮できる
  • ストレスが軽減される

お店にとって:

  • サービス品質の向上
  • 個性豊かな店舗作り
  • 競合との差別化
  • スタッフの定着率向上

お客様にとって:

  • より専門的なサービス
  • 多様性のある体験
  • スタッフの個性を楽しめる

スタッフの特性を見つける5つの観察ポイント

1. 自然に集中できること

観察のコツ: どんな作業の時に、スタッフが集中して取り組んでいるかを見てください。

例:

  • レジ業務に集中している→数字や正確性が得意
  • お客様との会話を楽しんでいる→コミュニケーションが得意
  • 掃除や整理整頓を丁寧にやっている→細かい作業が得意
  • 新メニューを試したがる→創造性がある

2. 時間を忘れて取り組むこと

質問例: 「どんな作業をしている時が一番楽しいですか?」 「気がついたら時間が経っていた、ということはありますか?」

3. お客様から褒められること

注目ポイント:

  • 「あの人の接客が良かった」
  • 「この人の作った料理が美味しい」
  • 「あの人に髪を切ってもらいたい」

お客様からの自然な評価は、スタッフの特性を表す重要な指標です。

4. 他のスタッフが相談すること

観察例:

  • 「○○のことは△△さんに聞こう」
  • 「困った時は△△さんが頼りになる」

同僚から頼られることは、その分野での特性を示しています。

5. プライベートの趣味や経験

聞き出すコツ: 普段の雑談の中で、趣味や過去の経験を聞いてみましょう。

活用例:

  • 写真が趣味→店舗のSNS担当
  • 料理好き→メニュー開発参加
  • ファッション好き→店舗コーディネート
  • スポーツ経験→チームワーク作り

特性別の仕事創出パターン

【コミュニケーション型】の活かし方

特徴:

  • 人と話すのが好き
  • お客様との会話が自然
  • 場の雰囲気を読むのが上手

適した仕事:

  • 接客のメイン担当
  • 新規客への説明役
  • クレーム対応の初期窓口
  • 電話対応の専任
  • イベント時の司会進行

仕事の作り方例:

【カフェの場合】
・「会話マスター」として常連客との関係構築を担当
・新メニューの説明専門スタッフ
・お客様の好みを記録して次回提案する役割

【美容室の場合】
・初回来店客の不安解消専門
・カウンセリング専門スタッフ
・リピート促進のためのアフターフォロー

【正確性・分析型】の活かし方

特徴:

  • 数字に強い
  • 細かい作業が苦にならない
  • ルールを守るのが得意

適した仕事:

  • レジ・会計業務
  • 在庫管理
  • 売上分析
  • シフト管理
  • 品質チェック

仕事の作り方例:

【飲食店の場合】
・日々の売上分析とレポート作成
・食材の発注管理と廃棄ロス削減
・レシピの標準化と品質管理

【美容室の場合】
・予約管理の最適化
・材料使用量の分析と効率化
・顧客データの整理と活用提案

【創造性・企画型】の活かし方

特徴:

  • 新しいアイデアを考えるのが好き
  • 現状に満足せず改善を考える
  • 美的センスがある

適した仕事:

  • メニュー開発
  • 店舗装飾・レイアウト
  • イベント企画
  • SNS運営
  • 販促物作成

仕事の作り方例:

【カフェの場合】
・季節限定メニューの企画・開発
・店内装飾のデザインと実施
・SNS投稿内容の企画と撮影

【美容室の場合】
・トレンドを取り入れた新スタイル提案
・店舗の雰囲気作り(音楽、香り、装飾)
・キャンペーン企画の立案

【サポート・調整型】の活かし方

特徴:

  • チームの和を大切にする
  • 縁の下の力持ち的存在
  • 他人のサポートが得意

適した仕事:

  • 新人教育・トレーニング
  • チーム内の調整役
  • 備品管理・環境整備
  • 他部門との連携窓口

仕事の作り方例:

【飲食店の場合】
・新人スタッフの教育担当
・ホールと厨房の連携調整
・お店の環境維持(清掃、備品管理)

【美容室の場合】
・スタッフ間のスケジュール調整
・新人の技術指導サポート
・顧客満足度向上のための環境作り

特性を活かした役割分担の実践方法

ステップ1:現在の業務を分解する

まず、お店で行っている業務をすべて洗い出します。

飲食店の業務例:

【接客系】
・お出迎え、席案内
・注文取り、メニュー説明
・料理提供、追加注文対応
・会計、お見送り
・電話対応

【調理系】
・食材準備、仕込み
・調理、盛り付け
・品質チェック
・在庫管理、発注

【管理系】
・清掃、整理整頓
・レジ締め、売上管理
・シフト管理
・販促物作成

ステップ2:各スタッフの特性をマッピング

スタッフ一人ひとりの特性と、適性のある業務をマッチングします。

特性マッピング例:

【Aさん】コミュニケーション型
→ 接客メイン、新規客対応、電話応対

【Bさん】正確性・分析型
→ レジ・会計、在庫管理、売上分析

【Cさん】創造性・企画型
→ メニュー開発、SNS運営、販促企画

【Dさん】サポート・調整型
→ 新人教育、チーム調整、環境整備

ステップ3:「得意業務」の比重を高める

完全分業ではなく、得意分野の比重を高めた役割分担にします。

時間配分例:

【Aさんの1日】
・接客業務:70%(得意分野)
・その他業務:30%(経験として)

【Bさんの1日】
・管理業務:60%(得意分野)
・接客業務:40%(スキル維持)

「適材適所」を成功させる3つのポイント

ポイント1:スタッフ本人の意思を確認

重要な確認事項:

  • 本人がその業務を好きかどうか
  • やりがいを感じられるかどうか
  • 成長したいと思っているかどうか

確認の仕方: 「○○さんは△△の業務が得意だと思うんですが、もっと任せてもいいですか?」

ポイント2:公平感を保つ

特定のスタッフだけが楽な仕事をしている、と思われないよう注意が必要です。

公平感を保つ方法:

  • 全員に「得意分野」があることを明言
  • 定期的にローテーションも行う
  • 評価基準を明確にする

ポイント3:継続的な調整

スタッフの成長や興味の変化に応じて、役割分担を見直します。

見直しのタイミング:

  • 3ヶ月に1回の個別面談
  • 新しいスキルを習得した時
  • 本人から要望があった時

実際の成功事例

居酒屋「○○亭」の特性活用事例

スタッフ構成と役割分担:

Aさん(22歳・学生)

  • 特性:明るく話好き、SNSに詳しい
  • 担当:接客メイン、SNS運営、イベント企画
  • 成果:フォロワー数3倍増、若年層顧客増加

Bさん(35歳・主婦)

  • 特性:几帳面、計算が得意、効率重視
  • 担当:在庫管理、売上分析、シフト調整
  • 成果:食材ロス30%削減、効率的シフト運営

Cさん(28歳・料理好き)

  • 特性:創作意欲旺盛、味覚敏感
  • 担当:メニュー開発、季節限定企画
  • 成果:新メニューがSNSで話題、売上向上

結果:

  • 各スタッフのモチベーション大幅向上
  • 離職率ゼロを6ヶ月間継続
  • 売上15%増加

美容室「○○salon」の特性活用事例

個性を活かした専門分野制:

Dさん(スタイリスト)

  • 特性:トレンドに敏感、色彩センス抜群
  • 専門:カラーリング、トレンドスタイル
  • 顧客:20-30代女性の指名率80%

Eさん(スタイリスト)

  • 特性:丁寧、安定感がある、話をよく聞く
  • 専門:カット技術、年配客対応
  • 顧客:40代以上の顧客からの信頼厚い

Fさん(アシスタント)

  • 特性:気配り上手、マメ、記憶力良い
  • 担当:顧客情報管理、アフターケア
  • 成果:リピート率向上、顧客満足度アップ

よくある課題と解決策

課題1:「私は何も得意じゃない」と言うスタッフ

原因: 自己評価が低い、または経験不足

解決策:

  • 小さな得意分野から見つける
  • 他のスタッフからの評価を伝える
  • 新しいことにチャレンジする機会を作る

課題2:得意分野が被ってしまう

原因: スタッフの特性が似ている

解決策:

  • 同じ分野でも異なる角度で活かす
  • チーム制にして協力体制を作る
  • 新しい分野の開拓を提案

課題3:お客様からの要望と特性が合わない

原因: 顧客ニーズと得意分野のミスマッチ

解決策:

  • 柔軟な対応ができるよう基本スキルは全員習得
  • 特性を活かせる場面を意図的に作る
  • 長期的な視点でバランスを取る

今日から始められる3つのステップ

ステップ1:スタッフ観察を始める

今日から1週間、各スタッフが最も輝いている瞬間を記録してください。

ステップ2:個別面談の実施

「あなたの得意なことを教えてください」「どんな仕事が一番楽しいですか?」を聞いてみましょう。

ステップ3:小さな役割分担から開始

まずは1つの業務から、特性に合わせた担当制を試してみてください。

まとめ:個性が輝く店舗は必ず成功する

スタッフの特性を活かした仕事作りは、全員が勝利する戦略です。

スタッフは:

  • 自分らしさを発揮できる
  • 仕事へのやりがいを感じる
  • 成長を実感できる

お店は:

  • サービス品質が向上する
  • 独自性のある店舗になる
  • スタッフが定着する

お客様は:

  • より専門的なサービスを受けられる
  • スタッフの個性を楽しめる
  • 満足度の高い体験ができる

明日から、スタッフ一人ひとりの「これなら得意!」を見つけて、それを活かせる仕事を作ってみませんか?きっと、あなたの店舗は今まで以上に魅力的になるはずです。

※本サイトに記載された店舗名と店主名は、個店情報のため仮名とさせていただいております。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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