突発的業務の慢性化を防ぐ仕組み作り

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「あー、また急に○○の件で呼び出された…」

今日も朝から、予定していた仕事が全然進まない。スタッフからの「社長、ちょっと」「店長、これどうしたら…」という呼び出しの連続。

気がつけば夕方。「今日も結局、売上アップの企画が全然できなかった…」

そんな毎日を送っていませんか?

実は、これらの「突発的業務」の90%は本来起きる必要のないもの。そして残りの10%も事前に対処できるものなのです。

今日は、あなたを突発的業務から解放し、本来やるべき仕事に集中できる仕組み作りをお教えします。

目次

「突発的業務」の正体を知る

そもそも「突発的」ではない

多くの経営者が「突発的」だと思っている業務の実態:

【よくある "突発的" 業務】
・「これってどうしたらいいですか?」の相談
・「お客様からクレームが...」の報告
・「機械が動かなくなりました」の連絡
・「材料が足りません」の連絡
・「予約の変更をしたいお客様が...」の対応

でも冷静に考えてみてください。これらは本当に「予測不可能」でしょうか?

慢性化している「突発」の特徴

慢性化の危険信号チェック □ 同じような内容で月3回以上呼ばれる □ 「いつものあれ」で通じてしまう問題がある □ スタッフが自分で判断せずすぐに相談してくる □ 同じ時間帯によく呼ばれる □ 決まった人からの相談が多い

1つでも当てはまれば、それは「突発的」ではなく「慢性的」問題です。

なぜ突発的業務が慢性化するのか?

原因①:社長が「何でも屋」になっている

悪循環のサイクル

問題発生 → 社長が即座に解決 → スタッフが学習機会を失う → 
また同じ問題で社長に相談 → 社長がまた解決 → エンドレス

社長の「親切すぎる対応」が、実はスタッフの成長を妨げているのです。

原因②:判断基準が明確でない

スタッフは「どこまで自分で判断していいか分からない」から、とりあえず社長に聞いてしまいます。

よくある曖昧な指示

  • 「臨機応変に対応して」
  • 「常識的に考えて」
  • 「お客様のことを第一に」
  • 「適切に判断して」

これでは、スタッフは判断できません。

原因③:失敗を恐れる文化

「間違えたら怒られる」という空気があると、スタッフは自分で判断することを避けます。

突発的業務を根絶する「3段階システム」

第1段階:「突発業務ログ」で見える化

まずは1週間、あなたに舞い込む突発的業務を全て記録してください。

記録フォーマット

【突発業務ログ】
日時:  
内容:  
対応時間:  
相談者:  
本来の担当者:  
再発の可能性:高・中・低

1週間後の分析

  • 最も多い突発業務は?
  • 特定の人からの相談が多くないか?
  • 特定の時間帯に集中していないか?
  • 事前に防げたものはどれか?

第2段階:「権限移譲マップ」の作成

スタッフがどこまで自分で判断していいかを明確にします。

権限レベル設定例

【レベル1:新人スタッフ】
・1,000円以下の返金:自分で判断OK
・簡単な商品説明:マニュアル見ながらOK
・基本的な清掃:指示通りに実行

【レベル2:経験者スタッフ】  
・5,000円以下の返金:自分で判断OK
・お客様のカスタム要望:可能な範囲で対応
・新人への指導:基本業務について

【レベル3:ベテランスタッフ】
・10,000円以下の返金:自分で判断OK
・クレーム対応:初期対応は全て任せる
・シフト調整:社長に報告後実行

第3段階:「事前対処システム」の構築

起きる前に対処する仕組みを作ります。

予防システム例

【在庫管理の事前対処】
・発注点を設定(残り○個になったら自動発注)
・週2回の在庫チェック日を設定
・発注は毎週火曜・金曜に実施
・担当者が休む場合の代理人を事前指名

【機械メンテナンスの事前対処】
・月1回の定期点検日を設定
・異常サインの早期発見チェックリスト
・修理業者の連絡先をスタッフ全員が把握
・代替機器の準備

業種別「突発業務撲滅」成功事例

【居酒屋】の成功事例

Before:1日平均15回の突発対応

よくある突発業務:
・「お客様から〇〇の注文ですが、売り切れです」
・「生ビールの泡が出ません」  
・「お客様がお怒りです」
・「レジの操作が分からない」
・「予約のお客様がいらっしゃいません」

After:突発対応を1日3回以下に激減

導入した仕組み

【売り切れ対策】
・15時に在庫チェック → 売り切れ予想品目をリストアップ
・お客様には入店時に「本日のおすすめ」で先に案内
・売り切れ商品には代替メニューを必ず提案

【機器トラブル対策】
・開店前の機器点検チェックリスト導入
・各機器の簡単な対処法をラミネート掲示
・修理業者直通番号を各持ち場に設置

【クレーム対策】  
・初期対応マニュアル作成
・謝罪→傾聴→解決案提示の3ステップ
・5,000円以下の対応は現場スタッフに権限移譲

【美容室】の成功事例

Before:施術中に1日平均10回中断

よくある突発業務:
・「お客様が遅刻されています」
・「カラー剤が足りません」
・「次のお客様から電話です」
・「シャンプー台の調子が悪いです」
・「予約時間を変更したいお客様が...」

After:施術中断を1日2回以下に

導入した仕組み

【予約管理システム】
・遅刻15分で自動的に次予約と調整
・カラー剤は前日に必要量を準備
・電話は受付専任スタッフが対応
・機器の定期メンテナンス日を設定

【権限移譲システム】
・30分以内の予約変更は受付スタッフが対応
・軽微なクレームは担当スタイリストが完結
・次回予約の調整も現場で完結

「自立型スタッフ」を育てる指導法

ステップ1:まず「考えさせる」

スタッフから相談された時の対応を変えます。

❌ 従来の対応 「それは△△すればいいよ」(即答)

⭕ 改善した対応 「君はどう思う?」(逆質問) ↓ スタッフが考える ↓
「その考えで正解。次からは自分で判断していいよ」

ステップ2:「失敗OK」の環境作り

【失敗を恐れない文化の作り方】
・「完璧より行動」を合言葉に
・失敗した時は「どう改善する?」と建設的質問
・良い判断をした時は必ず褒める
・失敗事例を全員で共有し学習機会に変える

ステップ3:段階的に権限を拡大

【権限拡大プロセス】
第1段階:簡単な判断から任せる
第2段階:成功体験を積ませる
第3段階:少し難しい判断も任せる
第4段階:結果の責任も一緒に負わせる
第5段階:完全に権限移譲

突発業務ゼロの「理想システム」設計図

朝礼で1日の「想定問題」を共有

【朝礼での確認事項】
・今日起こりそうな問題は?
・対処法の確認
・担当者の明確化
・社長が不在の時間帯の責任者決定

「問題対処マニュアル」の整備

【問題別対処マニュアル例】
1. 機器故障 → まず○○を確認、ダメなら△△に連絡
2. お客様クレーム → 3ステップ対応法実行
3. スタッフ急病 → 代替要員リストから連絡
4. 停電 → 非常時対応チェックリスト実行
5. 在庫切れ → 代替品提案リストを活用

月1回の「突発業務撲滅会議」

【会議内容】
・今月発生した突発業務の振り返り
・改善できた事例の共有
・新たな予防策の検討
・スタッフの自立度評価
・来月の予防計画立案

今すぐできる実践チェックリスト

【今日からスタート】突発業務の記録開始

□ 突発業務ログ用紙を準備 □ スマホのタイマーで対応時間を測定 □ 1週間継続して記録 □ パターンを分析

【今週中に完成】権限移譲マップ

□ スタッフ別のスキルレベル把握 □ 業務別の判断権限レベル設定 □ 権限移譲マップの作成 □ スタッフへの説明・共有

【今月中に構築】事前対処システム

□ 頻発する突発業務TOP3を特定 □ 各業務の事前対処法を考案 □ 必要な道具・システムを準備 □ スタッフ教育・訓練の実施

まとめ:「突発」から「計画」への転換

突発的業務に振り回される経営者と、全てを計画的に処理する経営者。その違いは「仕組み化の有無」です。

突発業務に振り回される店の特徴

  • 社長が忙しそうに見えるが成果が出ない
  • スタッフが依存的で成長しない
  • 同じ問題が何度も繰り返される
  • 長期的な改善計画が立てられない

計画的に運営される店の特徴

  • 社長が本来業務に集中できる
  • スタッフが自立的で頼もしい
  • 問題が起きても冷静に対処
  • 継続的な成長と改善が実現

今日からできる3つのアクション

  1. 突発業務ログの記録開始(所要時間:記録は1件30秒)
  2. 最多頻発業務の対処法検討(所要時間:15分)
  3. スタッフへの権限移譲範囲の明確化(所要時間:30分)

1週間後、あなたの1日は「突発対応の連続」から「計画的な業務遂行」に変わっているはずです。

そして1か月後には、スタッフから「どうしたらいいですか?」ではなく「こうしました」という報告が増えていることでしょう。

あなたを突発業務から解放し、本来の経営者業務に専念できる環境を、今すぐ作り始めましょう!

※本サイトに記載された店舗名と店主名は、個店情報のため仮名とさせていただいております。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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