誰でもできる仕組み作りの5つのステップ

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誰でもできる仕組み作りの5つのステップ

目次

〜「属人化」から「標準化」への確実な道筋〜

「うちの店は田中さんがいないと回らないんです…」 「新人を雇っても、なかなか一人前になってくれなくて…」

そんな悩みを抱える経営者の皆さん、実は「誰でもできる仕組み」は、たった5つのステップで作ることができるんです!

今日は、属人化に悩む多くの店舗が実践して成功した、確実で実用的な方法をご紹介します。

なぜ「誰でもできる仕組み」が必要なのか?

【衝撃の実話】ベテラン頼みで倒産寸前になった美容室

札幌の美容室「Hair Studio RAINBOW」(仮名)は、カリスマ美容師の山田さんを中心に15年間営業していました。

山田さんの圧倒的な技術力

  • 顧客の80%が山田さん指名
  • 他スタッフは「アシスタント」状態
  • 新人は山田さんレベルを求められ、次々と退職
  • 技術はすべて山田さんの「感覚」と「経験」

そして、悲劇の日… 山田さんが交通事故で3ヶ月入院することに。

その結果…

  • 指名客の90%が他店に流出
  • 残ったスタッフでは技術レベルが追いつかない
  • 新規客も「前と違う」と離れていく
  • 3ヶ月で売上が85%ダウン、借金が急増

オーナーの絶望: 「山田さんは確かに天才でした。でも、その天才に頼りすぎて、お店全体が『山田さんという一本の柱』で支えられていただけだったんです。その柱が倒れたら、全部崩れ落ちてしまいました…」

「誰でもできる仕組み」の5つのステップ

ステップ1:【現状把握】何が属人化しているかを見える化する

所要時間:1日

まず、あなたのお店で「特定の人しかできない作業」をすべて洗い出します。

実践方法

  1. スタッフリストを作る
  2. 各スタッフができる業務を○×で表にする
  3. ×が多い業務を「属人化リスト」として抽出

記録シート例:居酒屋の場合

業務内容         田中  佐藤  鈴木  山田
────────────────────────
煮物の味付け      ○    ×    ×    ×
刺身の盛り付け    ○    ×    △    ×
レジ締め作業      ○    ○    ×    ×
新人指導         ○    ×    ×    ×
クレーム対応      ○    ×    ×    ×

危険度の判定

  • 赤信号:1人しかできない(×が3つ以上)
  • 黄信号:2人しかできない(×が2つ)
  • 青信号:3人以上ができる

実例:ある洋食屋では、この表を作った結果、12の重要業務のうち8つが「赤信号」でした。「これじゃあ、誰かが休んだら大変なことになる」と初めて現実を認識できました。

ステップ2:【優先順位決定】どれから取り組むかを決める

所要時間:30分

すべてを一度に改善するのは無理なので、優先順位をつけます。

優先順位の判断基準

  1. お客様への影響度(高い=優先)
  2. 発生頻度(毎日=優先)
  3. 教えやすさ(簡単=優先)
  4. 緊急度(その人が休む予定=優先)

優先度マトリックス

        影響大    影響小
頻度高  【A】最優先  【B】2番目
頻度低  【C】3番目   【D】後回し

実例:カフェの優先順位決定

  • A最優先:ラテアート(毎日・お客様の満足度に直結)
  • B2番目:レジ操作(毎日・でも誰でもできそう)
  • C3番目:月末の売上集計(月1回・でも重要)
  • D後回し:機械の修理(滅多にない・外注可能)

ステップ3:【技術分解】複雑な技術を単純な手順に分ける

所要時間:2時間

選んだ業務を「誰でもできる手順」に分解します。

分解の3つのコツ

コツ1:時系列で細かく分ける ❌ 「だし巻き玉子を作る」 ⭕ 「1.卵を割る→2.だし汁を加える→3.混ぜる→4.焼く→5.巻く」

コツ2:感覚を数値化する ❌ 「いい感じの色になるまで」 ⭕ 「きつね色(写真参照)になるまで、約3分間」

コツ3:判断基準を明確化する ❌ 「適当に味見して調整」 ⭕ 「小さじ1/2の塩を加え、甘さが足りなければ砂糖を小さじ1追加」

分解実例:寿司屋のシャリ作り

【従来】「シャリは感覚で握る」

【分解後】
1. 手を水で濡らす(指先が軽く湿る程度)
2. シャリを手の平に25g取る(親指の先端大)
3. 右手で軽く丸める(5回転)
4. 左手で形を整える(楕円形、長さ4cm)
5. 軽く押さえる(卵を握る程度の力)
6. ネタを乗せる前に表面を平らにする

ステップ4:【教材作成】マニュアルと教育ツールを作る

所要時間:3時間

分解した手順を、誰でも理解できる形にします。

教材の3点セット

1. 写真付きマニュアル

  • 各工程の写真(手の動き、材料の状態)
  • 完成品の理想的な状態
  • NGパターンの例

2. チェックリスト

  • 各工程で確認すべきポイント
  • 初心者でも漏れなくできる仕組み

3. 練習用動画

  • スマホで撮影した実演動画
  • 繰り返し見られるように編集

実例:ラーメン店のチャーシュー作り教材

写真付きマニュアル

  • 肉の下ごしらえ(筋の取り方、紐の巻き方)
  • 焼き色の付け方(フライパンでの焼き時間)
  • 煮込み具合の判断(箸で刺したときの手応え)

チェックリスト

□ 肉の表面に焼き色がついている
□ 煮汁が半分以下に減っている  
□ 箸がスッと通る柔らかさ
□ 中心温度が75度以上

練習用動画(各1-2分):

  • 「紐の巻き方編」
  • 「焼き色の付け方編」
  • 「煮込み時間の見極め編」

ステップ5:【実践と改善】実際にやってもらい、問題点を修正

所要時間:1週間

作った教材を使って、実際に教育を行います。

実践の進め方

Day1-2:見学とメモ取り

  • 新人はマニュアルを見ながら、ベテランの作業を観察
  • 疑問点や分からない部分をメモ

Day3-4:サポート付き実践

  • ベテランがそばで見守りながら、新人が実際に作業
  • うまくいかない部分を記録

Day5-7:独立実践

  • 新人一人で作業(ベテランは別の作業)
  • 完成品の品質をチェック

改善の記録例

【問題点】手順3で時間がかかりすぎる
【原因】「軽く混ぜる」の表現が曖昧
【改善】「時計回りに10回かき混ぜる」に変更

【問題点】焼き色の判断ができない
【原因】写真だけでは分からない
【改善】実物サンプルを冷凍保存して比較用に使用

【大成功事例】居酒屋チェーンの標準化革命

全国に30店舗を展開する居酒屋チェーン「○○酒場」では、5つのステップで劇的な改善を実現しました。

Before:店舗ごとのバラつき

  • 同じメニューでも店舗で味が違う
  • 新店舗の立ち上げに6ヶ月かかる
  • アルバイトの定着率が低い(3ヶ月で50%退職)
  • クレームが多発

5つのステップ実践結果

ステップ1実施:25の主要業務のうち18が属人化していることが判明

ステップ2実施:優先順位を決定

  • A最優先:看板メニュー5品の調理法
  • B2番目:接客の基本対応
  • C3番目:レジ・清掃業務

ステップ3実施:技術分解

  • 看板メニューの唐揚げを27工程に分解
  • 「秘伝のタレ」の調合比率を数値化
  • 接客用語を場面別にスクリプト化

ステップ4実施:教材作成

  • 全メニューの写真付きマニュアル完成
  • 新人用の練習動画を50本作成
  • スマホで見られるデジタル教材に

ステップ5実施:1ヶ月間のテスト運用

After:驚異的な改善結果

  • 新店舗の立ち上げ期間:6ヶ月→3週間
  • アルバイト定着率:50%→85%
  • 味のバラつき:ほぼゼロ
  • クレーム件数:80%減少
  • 客単価:平均15%アップ(品質安定による)

本部責任者のコメント: 「最初は『職人の技は標準化できない』と思っていました。でも、5つのステップで進めてみると、実は標準化できない技術なんてほとんどないことが分かりました。今では新人でも2週間で戦力になります」

各ステップの「よくある失敗」と対策

ステップ1の失敗:「全部が属人化している」

対策:まず1つだけに絞る。完璧を求めず、できそうなものから始める。

ステップ2の失敗:「優先順位が決められない」

対策:「今日その人が休んだら一番困ること」から始める。

ステップ3の失敗:「分解しすぎて複雑になる」

対策:中学生でも分かるレベルまで簡単にする。専門用語は使わない。

ステップ4の失敗:「完璧な教材を作ろうとする」

対策:60点でもまず作る。使いながら改善していく。

ステップ5の失敗:「うまくいかないと諦める」

対策:うまくいかない部分こそ改善のチャンス。記録して次に活かす。

5つのステップ成功の秘訣

秘訣1:小さく始める

  • いきなり全部をやろうとしない
  • 1つ成功したら次に進む
  • 成功体験の積み重ねが重要

秘訣2:チーム全体で取り組む

  • ベテランも巻き込む(「技術の継承」として評価)
  • みんなで改善していく文化を作る
  • 成功したら全員で喜ぶ

秘訣3:継続的改善

  • 一度作って終わりではない
  • 定期的に見直して更新
  • 使う人の意見を積極的に取り入れる

今日からできる「5ステップ」スタートガイド

今日(15分)

「属人化リスト」を作成してみる

明日(10分)

優先順位を決める(1つだけでOK)

今週末(2時間)

選んだ1つの作業を観察して分解する

来週(1時間)

簡単なマニュアルを作成する

来月

新人やパートさんに実際に使ってもらう

まとめ:「属人化」は悪ではない、「依存」が問題

「属人化」そのものは悪いことではありません。スタッフそれぞれに得意分野があるのは自然なことです。

問題は「依存」することです。つまり:

  • その人がいないと困る(依存)→ ❌
  • その人がいるとさらに良くなる(活用)→ ⭕

5つのステップを実践することで、スタッフの個性と技術を活かしながら、誰でも基本ができる安定した経営が実現できます。

まずは小さな一歩から。今日、「一番属人化している作業」を1つ選んで、ステップ1から始めてみませんか?

次回は「多能工化でリスク分散する人材育成法」について、具体的な教育プログラムを詳しく解説します。

「うちのスタッフにも色々な仕事を覚えてもらいたい」という方は、ぜひお楽しみに!


今すぐできるアクション 今から5分間で、あなたのお店の「属人化リスト」を作ってみてください。問題を見える化することが、解決への第一歩です!

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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