不要な作業を完全排除する判断基準

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不要な作業を完全排除する判断基準

目次

はじめに:「当たり前」の作業に隠された時間泥棒

「これは昔からやっているから」「他のお店もやっているから」「お客様のためだから」…

そんな理由で続けている作業の中に、実は大量の「時間泥棒」が潜んでいることをご存知ですか?

今日は、あなたが「当たり前」だと思っている作業を客観的に分析し、本当に不要な作業を見つけ出して完全排除するための判断基準をお伝えします。これをマスターすれば、週に10時間以上の時間創出も夢ではありません。

不要作業の3つのタイプ

タイプ1:「惰性作業」- なんとなく続けているもの

特徴:

  • 始めた理由や目的が曖昧
  • 効果測定をしたことがない
  • 「いつからやっているか忘れた」状態

典型例:

  • 毎朝の店内BGM選び(30分)
  • 手書きメニューボードの書き直し(45分)
  • 必要以上に詳細な売上日報作成(1時間)

タイプ2:「見栄作業」- 体裁や見た目のためのもの

特徴:

  • 他店と比較して始めたもの
  • 「プロらしく見える」ことが目的
  • 実際の売上・利益への貢献度が不明

典型例:

  • 複雑すぎる盛り付けの装飾(1皿5分×100皿=8時間/日)
  • 過度に凝ったラッピング(1個10分×20個=3時間/日)
  • 業界誌への見栄の広告掲載(効果測定なし)

タイプ3:「完璧主義作業」- 80点で十分なのに100点を目指すもの

特徴:

  • 品質と時間のバランスが崩れている
  • 顧客の要求レベルを超えている
  • 経営者の自己満足になっている

典型例:

  • 必要以上に細かい在庫管理(週5時間)
  • 顧客への過度に丁寧すぎるメール返信(1通30分)
  • 完璧を求めすぎるスタッフ教育(効果薄)

不要作業を見つける5つの判断基準

判断基準1:ROI(投資対効果)分析

計算式:

ROI = (得られる利益 - 投入コスト)÷ 投入コスト × 100

時間コストの計算:

時間コスト = 作業時間(時間)× あなたの時給
あなたの時給 = 年収 ÷ (52週 × 週労働時間)

判断基準:

  • ROI がマイナス → 即座に廃止
  • ROI が10%未満 → 廃止検討
  • ROI が30%以上 → 継続

実例:手書きメニューボード

■ 投入時間:週3時間
■ 時給:2000円
■ コスト:週6000円(年間312,000円)
■ 効果:売上向上の証拠なし
■ ROI:-100%
■ 判断:即座に廃止

判断基準2:顧客価値分析

顧客が本当に価値を感じているかを確認します。

チェック項目:

  • [ ] 顧客から直接感謝されたことがあるか
  • [ ] この作業をやめたら顧客が困るか
  • [ ] 顧客がお金を払ってでも求めているか
  • [ ] 競合他店がやっていないと顧客は不満を持つか

4つすべてにNoなら廃止候補

実例:年賀状作成

■ 顧客から感謝された:数年前に数件のみ
■ やめたら困る:ほとんどの顧客は気づかない
■ お金を払ってでも:そこまでは求めていない
■ 競合他店:最近はほとんどやっていない
■ 判断:廃止

判断基準3:代替可能性分析

その作業を別の方法で代替できるかを検討します。

代替パターン:

  1. より簡単な方法で同じ効果
  2. デジタル化で効率化
  3. 外部サービスの活用
  4. 他の作業との統合

実例:店内POPの手書き作成

■ 現在:手書きで1枚30分
■ 代替案1:Wordテンプレートで1枚5分
■ 代替案2:印刷会社に委託で品質向上
■ 代替案3:デジタルサイネージで更新簡単
■ 判断:代替案1を採用、手書きは廃止

判断基準4:機会損失分析

その作業に時間を使うことで、何を諦めているかを明確にします。

機会損失の計算:

機会損失 = その時間を売上向上活動に使った場合の期待利益

実例:過度に凝った盛り付け

■ 現在の時間:1日2時間の盛り付け装飾
■ 代替時間の使い方:新メニュー開発、SNS発信
■ 期待効果:月商10%アップ(30万円)
■ 機会損失:年間360万円
■ 判断:盛り付けをシンプル化し、創出時間を活用

判断基準5:ストレステスト

その作業をやめた場合の最悪シナリオを想定します。

テスト手順:

  1. 最悪のケースを想定する
  2. その確率を見積もる
  3. 損失額を計算する
  4. 対策コストと比較する

実例:毎日の詳細清掃

■ 現在:毎日2時間の詳細清掃
■ 変更案:週3回に削減
■ 最悪ケース:保健所指摘、客離れ
■ 確率:5%以下(基本清掃は継続するため)
■ 損失予測:月10万円
■ 削減効果:時間創出で月50万円増収期待
■ 判断:リスクを取って削減実行

業種別・不要作業の典型パターン

飲食店でよくある不要作業

パターン1:過度な装飾・演出

  • 作業例:料理の複雑すぎる飾り付け
  • 時間:1日3時間
  • 判断:シンプル化で時間創出、味に集中

パターン2:非効率な仕込み方法

  • 作業例:少量ずつの頻繁な仕込み
  • 時間:1日1時間の無駄
  • 判断:まとめて仕込み、冷凍保存活用

パターン3:手作業での売上管理

  • 作業例:手書きでの細かすぎる売上記録
  • 時間:1日30分
  • 判断:POSシステム活用で自動化

美容室でよくある不要作業

パターン1:過度な店内装飾変更

  • 作業例:季節ごとの大掛かりな装飾替え
  • 時間:月2時間
  • 判断:シンプルで変更不要な装飾に

パターン2:手作業での予約管理

  • 作業例:手書き予約表での複雑な管理
  • 時間:1日1時間
  • 判断:予約システム導入で自動化

パターン3:過度に丁寧すぎる施術

  • 作業例:必要以上に時間をかけたマッサージ
  • 時間:1客あたり10分オーバー
  • 判断:標準時間を設定、品質とのバランス調整

サービス業でよくある不要作業

パターン1:過度に詳細な報告書作成

  • 作業例:誰も読まない詳細すぎる日報
  • 時間:1日30分
  • 判断:要点のみの簡潔な報告に変更

パターン2:完璧すぎる資料作成

  • 作業例:社内会議用の凝りすぎた資料
  • 時間:週3時間
  • 判断:簡潔で実用的な資料に変更

廃止実行時の3つの注意点

注意点1:段階的廃止の実行

いきなり100%廃止するのではなく、段階的に削減します。

段階的廃止の例:

第1段階:50%削減(2週間実施)
第2段階:80%削減(2週間実施)
第3段階:完全廃止(継続)

注意点2:関係者への事前説明

スタッフや関係者に廃止の理由と代替策を説明します。

説明のポイント:

  • 廃止の理由(時間創出、効率化)
  • 創出時間の活用計画
  • 品質やサービスへの影響(ないことを強調)
  • 必要に応じて復活可能であること

注意点3:効果測定と修正準備

廃止後の効果を測定し、問題があれば修正します。

測定項目:

  • 時間削減効果
  • 売上・利益への影響
  • 顧客満足度の変化
  • スタッフの作業負荷変化

実践成功事例

事例1:イタリアンレストラン

廃止した作業:

  • 毎日の手作りパンケーキ(2時間)
  • 複雑すぎる前菜の盛り付け(1.5時間)
  • 手書きメニューの毎日更新(30分)

効果:

  • 1日4時間の時間創出
  • 創出時間で新パスタメニュー開発
  • 月商15%アップを実現

事例2:美容サロン

廃止した作業:

  • 過度に詳細な顧客カルテ作成(1日1時間)
  • 季節装飾の頻繁な変更(月4時間)
  • 手作りアフターケア用品(週3時間)

効果:

  • 週10時間の時間創出
  • 創出時間で技術練習と新サービス企画
  • 客単価20%アップを実現

今日からできる不要作業発見ワーク

ステップ1:作業棚卸し(今日)

今日1日の作業を30分単位で全て記録します。

ステップ2:5判断基準での評価(明日)

記録した各作業を5つの判断基準で評価します。

ステップ3:廃止候補の選定(明後日)

評価結果から廃止候補を3つ選定します。

ステップ4:段階的廃止の開始(来週)

最も効果の高そうな1つから段階的廃止を開始します。

ステップ5:効果測定(2週間後)

時間削減効果と副作用を測定し、継続・修正を判断します。

廃止決断のマインドセット

完璧主義からの脱却

「80点で十分」という考え方を身につけましょう。お客様が求めているのは100点の完璧さではなく、期待を上回る価値です。

埋没コスト思考の排除

「今まで頑張ってやってきたから」という理由で継続するのは、埋没コスト思考です。過去の投資にとらわれず、未来の価値で判断しましょう。

実験思考の採用

「廃止」ではなく「実験」として考えることで、心理的ハードルを下げられます。「3ヶ月間試してみて、問題があれば戻す」というスタンスで始めましょう。

まとめ:勇気ある廃止が未来を拓く

不要な作業を廃止するには勇気が必要です。しかし、その勇気こそが、あなたの未来を大きく変える力になります。

今あなたが「当たり前」だと思っている作業の中に、週10時間以上の時間を生み出す「宝」が眠っています。5つの判断基準を使って、その宝を発見してください。

廃止して創出した時間は、売上アップ、新サービス開発、スタッフ教育、自己成長など、本当に価値ある活動に投資しましょう。

今日から、あなたも「不要作業の完全排除」に挑戦してみてください。3ヶ月後のあなたの変化に、きっと驚かれることでしょう。


次回は「スタッフに任せるための作業分解テクニック」について詳しく解説します。「任せたいけど任せられない」という悩みを解決し、スタッフに安心して業務を移譲するための具体的手法をお伝えします。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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