LINEグループを作らない方がいい科学的理由

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LINEグループを作らない方がいい科学的理由

「仲間との連絡のためにLINEグループを作ろう」 「みんなで情報共有するために、とりあえずグループLINEがあれば便利」 「チームワーク向上のために、スタッフ全員でLINEグループを作ろう」

こんな風に考えたことはありませんか?

実は、安易にLINEグループを作ることは、関係の質を下げ、生産性を低下させ、チームの結束を弱める可能性が高いのです。これは感覚的な話ではなく、科学的な研究で証明されている事実です。

この記事では、なぜLINEグループが人間関係とビジネスに悪影響を与えるのか、そしてより効果的なコミュニケーション方法について、飲食店・美容室経営者の視点から分かりやすく解説します。

目次

LINEグループの5つの科学的問題

問題1:責任の分散効果

「誰かがやるだろう」心理

心理学の研究結果: グループが大きくなるほど、個人の責任感が薄れる現象が発生します。これを「責任の分散効果」と呼びます。

LINEグループでの現象:

  • 重要な連絡に誰も返信しない
  • 「誰か返事してくれるだろう」と思って放置
  • 緊急事項への反応が遅れる
  • 個人の当事者意識が低下

飲食店での具体例:

店長:「明日の仕込み、誰か早めに来れる人いる?」
↓
スタッフA:「誰か他の人が返事するだろう」
スタッフB:「自分じゃなくても大丈夫だろう」
スタッフC:「まだ時間があるから後で考えよう」
↓
結果:誰も返事せず、当日になって慌てることに

美容室での具体例:

オーナー:「来週の研修会、参加希望者は返事ください」
↓
スタッフ全員:「他の人が参加するだろうから自分は...」
↓
結果:誰も参加せず、研修会が無駄になる

問題2:情報過多による重要度の低下

「情報のノイズ化」現象

認知心理学の発見: 情報が多すぎると、脳は重要な情報とそうでない情報を区別できなくなります。

LINEグループでの問題:

  • どうでもいい情報と重要な情報が混在
  • 本当に大切な連絡が埋もれてしまう
  • メンバーが情報をチェックしなくなる
  • 緊急時の連絡効果が大幅に低下

情報ノイズの例:

10:00 「おはようございます」
10:05 「今日は良い天気ですね」
10:30 「ランチ何食べようかな」
11:00 「急遽、今日の営業時間を1時間延長します」←重要
11:05 「疲れた〜」
11:10 「お疲れ様です」

重要な営業時間変更の連絡が、どうでもいい情報に埋もれて見落とされる可能性が高くなります。

問題3:浅い関係の促進

「弱い紐帯」理論

社会学の研究: 表面的で頻繁な接触は、深い信頼関係の構築を阻害することが分かっています。

LINEグループが作る浅い関係:

  • 短文での表面的なやり取りが中心
  • 深い話や本音の交流が減少
  • スタンプや絵文字での感情表現が増加
  • 対面での真剣な話し合いの機会が減少

深い関係 vs 浅い関係の比較:

深い関係(対面での個別対話):

  • 本音での悩み相談
  • 詳細な技術指導
  • 将来の目標についての話
  • 信頼関係に基づく率直な意見交換

浅い関係(LINEグループ):

  • 「お疲れ様」「了解」などの定型文
  • スタンプでの感情表現
  • 表面的な業務連絡のみ
  • 本音を言いにくい雰囲気

問題4:集中力の分散

「注意残余効果」による生産性低下

脳科学の研究結果: 通知が来るたびに脳の一部が「気になる状態」になり、集中力が大幅に低下することが証明されています。

LINEグループ通知の悪影響:

  • 仕事中に頻繁な通知で集中が途切れる
  • 通知をオフにしても「何か来ているかも」という不安
  • 重要な作業の質が低下
  • ストレスレベルの上昇

集中力低下の具体例:

飲食店での調理中:

調理に集中している時
↓
LINEの通知音「ピロン」
↓
気になって手を止めてスマホをチェック
↓
どうでもない「お疲れ様」メッセージ
↓
再び調理に戻るが、集中力が戻るまで10分かかる

美容室での施術中:

お客さんのカット中
↓
LINEの通知音
↓
気になって手元が狂いそうになる
↓
施術の質に影響する可能性

問題5:グループ思考の促進

「同調圧力」による創造性の低下

心理学の研究: グループ内では、異なる意見を言いにくくなり、創造的なアイデアが生まれにくくなることが分かっています。

LINEグループでの同調圧力:

  • 反対意見を言いにくい雰囲気
  • みんながスタンプを押すから自分も押す
  • 本当は参加したくないイベントにも「参加」と返事
  • 新しいアイデアを提案しにくい環境

創造性低下の例:

店長:「新メニューのアイデア、みんなで考えよう」
↓
スタッフA:「パスタはどうですか?」(他の人の反応を見る)
スタッフB:「いいですね!」(本当は別のアイデアがあるが言えない)
スタッフC:「賛成です!」(実は反対だが言いにくい)
↓
結果:画期的なアイデアが出ず、平凡なメニューに

より効果的なコミュニケーション方法

方法1:目的別の個別連絡

重要度に応じた連絡手段の使い分け

緊急・重要:電話での個別連絡

  • 営業時間の変更
  • 緊急の人員調整
  • 重要な顧客対応
  • 安全に関わる事項

重要・非緊急:個別メール

  • 月次の売上報告
  • 研修会の案内
  • 新しい取り組みの説明
  • 個人的な評価・指導

非重要・情報共有:掲示板の活用

  • 一般的なお知らせ
  • 業界情報のシェア
  • イベント情報
  • 日常的な連絡事項

方法2:定期的な対面ミーティング

質の高いコミュニケーションの確保

毎日の朝礼(15分):

  • 今日の重要事項の確認
  • 昨日の反省点と改善点
  • お客さんからのフィードバック共有
  • チーム全体の士気向上

週1回の個別面談(30分×人数):

  • 一人一人の成長状況確認
  • 個人的な悩みや課題の相談
  • 具体的な技術指導
  • 今後の目標設定

月1回の全体会議(2時間):

  • 月次実績の詳細分析
  • 来月の目標と戦略の共有
  • 改善提案の話し合い
  • チームビルディング活動

方法3:専用ツールの活用

業務効率化のためのツール選択

シフト管理:専用アプリ -「シフトボード」「ジョブカン」など

  • 個人のスケジュール管理が容易
  • 変更依頼も透明性が高い
  • 責任の所在が明確

業務連絡:メール+掲示板

  • 重要な連絡はメールで個別送信
  • 一般的な情報は物理的な掲示板
  • 記録が残り、後から確認可能
  • 優先度が明確

緊急連絡:電話

  • 確実に相手に伝わる
  • 即座の反応が得られる
  • 誤解が生じにくい
  • 責任感が高まる

実践事例:LINEグループをやめた成功例

飲食店の事例:個別連絡で効率大幅アップ

Jさん(イタリアンレストラン)の場合:

LINEグループ時代の問題:

  • スタッフ6人のグループLINEを運用
  • 重要な連絡に反応しない人が続出
  • どうでもない雑談で重要な情報が埋もれる
  • 勤務中の通知で集中力が途切れる
  • 本音での相談ができない雰囲気

改善の実践:

1. LINEグループの廃止 「効率の良いコミュニケーションのため」として自然に解散

2. 連絡手段の再構築

  • 緊急:電話での個別連絡
  • 重要:個別メール
  • 一般:店内掲示板
  • 相談:対面での個別面談

3. 定期ミーティングの強化

  • 毎日の朝礼(10分)
  • 週1回の個別面談(20分×6人)
  • 月1回の全体会議(1.5時間)

結果(3ヶ月後):

  • 重要な連絡の伝達率100%達成
  • スタッフの勤務中集中力が大幅向上
  • 個別面談で深い信頼関係が構築
  • チーム全体の結束力が向上
  • 売上が15%アップ

スタッフの感想:

  • 「仕事中にスマホが気にならなくなった」
  • 「本音で相談できるようになった」
  • 「重要な連絡を見落とすことがなくなった」
  • 「チームの一体感が強くなった」

美容室の事例:質の高いコミュニケーションで技術向上

Kさん(美容室)の場合:

LINEグループ時代の問題:

  • スタッフ4人のグループLINEを運用
  • 技術的な質問にも表面的な返答のみ
  • 本格的な技術指導ができない
  • 個人的な悩みを相談しにくい雰囲気
  • 新しいアイデアが出にくい

改善の実践:

1. LINEグループの段階的廃止 「より深いコミュニケーションのため」として説明

2. 技術指導システムの構築

  • 週1回の個別技術指導(45分×4人)
  • 月2回の全体技術研究会(2時間)
  • 緊急時は電話での直接連絡
  • 業務連絡は個別メール

3. 信頼関係構築の強化

  • 月1回の個人相談時間(30分×4人)
  • 四半期ごとの個人目標設定面談
  • 年2回の職場環境改善話し合い

結果(6ヶ月後):

  • スタッフ全員の技術レベルが大幅向上
  • 個別指導により各自の得意分野が明確に
  • 相談しやすい環境で離職率ゼロ
  • 新しいサービスアイデアが月3個以上生まれる
  • 客単価が30%アップ

スタッフの感想:

  • 「技術的な質問を詳しく聞けるようになった」
  • 「自分の成長を真剣に考えてくれていると感じる」
  • 「アイデアを提案しやすくなった」
  • 「職場の雰囲気が温かくなった」

LINEグループの代替手段

緊急時の連絡体制

階層的連絡システム

連絡の優先順位:

  1. 店長・オーナーが直接各スタッフに電話
  2. 返答がない場合は次の責任者が連絡
  3. 全員への一斉連絡が必要な場合は掲示板併用

緊急時連絡フロー例:

緊急事態発生
↓
店長が主要スタッフ3人に個別電話
↓
各人が担当する他スタッフに個別連絡
↓
確認が取れた人から順次対応
↓
店内掲示板で状況を全員に共有

情報共有の仕組み

物理的掲示板の活用

効果的な掲示板の使い方:

  • A4サイズ以上の見やすい掲示板
  • 情報の種類別にエリア分け
  • 緊急度に応じた色分け
  • 確認印制度で既読確認

掲示板の構成例:

【緊急・重要】(赤色エリア)
□ 営業時間変更のお知らせ
□ 安全に関する注意事項

【業務連絡】(青色エリア)
□ 今月の目標と進捗
□ 新メニュー・新サービス情報

【一般情報】(緑色エリア)
□ 業界ニュース
□ 研修・セミナー情報

個別コミュニケーションの充実

一対一の関係構築

定期個別面談の内容:

  • 今週の成果と課題の振り返り
  • 技術的な質問・指導
  • 個人的な悩みや相談
  • 来週の目標設定
  • キャリア相談

個別面談の効果:

  • 深い信頼関係の構築
  • 個人に合わせた指導が可能
  • 本音での相談ができる
  • モチベーション向上
  • 離職率の大幅減少

実践的な移行方法

LINEグループからの段階的移行

3段階での移行プロセス

第1段階(1ヶ月目):新システムの併用

  • 新しい連絡方法を導入
  • LINEグループも残したまま
  • 重要な連絡は新方法で実施
  • スタッフに新方法の利点を説明

第2段階(2ヶ月目):LINEグループの使用制限

  • LINEグループは緊急時のみ使用
  • 日常的な連絡は新方法に統一
  • 効果の違いをスタッフと共有

第3段階(3ヶ月目):LINEグループの完全廃止

  • 新方法の効果を確認
  • スタッフの納得を得て廃止
  • より効率的なコミュニケーション体制の確立

スタッフへの説明方法

納得してもらうための説明

説明のポイント:

  1. 現在の問題点を具体的に示す
  2. 新方法のメリットを分かりやすく説明
  3. 一人一人にとっての利点を個別に伝える
  4. 段階的に移行することを約束

説明例: 「みんなで効率よく、しっかりとコミュニケーションを取るために、連絡方法を見直したいと思います。LINEグループだと大切な連絡が埋もれてしまったり、仕事中に気が散ったりすることがありますよね。新しい方法では、一人一人ともっと深く話ができるようになり、技術指導も充実させられます。段階的に変更していくので、不便に感じることがあれば遠慮なく言ってください。」

注意点と対処法

移行時の注意点

スタッフの抵抗への対処

よくある抵抗:

  • 「LINEの方が慣れていて楽」
  • 「時代に逆行している」
  • 「面倒くさい」

対処法:

  • 新方法の具体的メリットを体験させる
  • 一人一人の意見を丁寧に聞く
  • 段階的移行で負担を軽減
  • 成功事例を示して安心させる

緊急時の連絡漏れ防止

対策:

  • 複数のルートでの確認体制
  • 緊急連絡先リストの常時更新
  • 定期的な連絡テストの実施
  • バックアップ担当者の設定

継続のためのポイント

新システムの定着

定着のための工夫:

  • 定期的な効果測定
  • スタッフからのフィードバック収集
  • 必要に応じたシステム改善
  • 成功の共有と称賛

まとめ:質の高いコミュニケーションが成功の鍵

LINEグループは便利に見えますが、科学的に証明された多くの問題 を抱えています。

LINEグループの5つの問題:

  1. 責任の分散効果 – 個人の責任感が薄れる
  2. 情報過多による重要度低下 – 大切な情報が埋もれる
  3. 浅い関係の促進 – 深い信頼関係が築けない
  4. 集中力の分散 – 生産性が大幅に低下
  5. グループ思考の促進 – 創造性が失われる

効果的な代替手段:

  1. 目的別の個別連絡 – 重要度に応じた手段の使い分け
  2. 定期的な対面ミーティング – 深いコミュニケーションの確保
  3. 専用ツールの活用 – 業務効率化のための適切な道具選択

今日から始められること: まずはLINEグループでの連絡を週1回減らして、その分を対面での個別対話に変えてみてください。きっと、コミュニケーションの質の違いを実感できるはずです。

真の効率性と人間関係の質の向上は、最新のツールではなく、一人一人を大切にする基本的なコミュニケーション から生まれます。

次のステップ

LINEグループの問題を理解したら、次は人間関係を変える際の注意点について学びましょう。

次の記事「付き合う人を変えるときの3つの注意点」では、より良い人間関係を求めて関係性を変更する際に、失敗しないための具体的な注意点と方法について詳しく解説します。


今日のアクション: 現在参加しているLINEグループを1つ選んで、そのグループでの最近1週間のやり取りを振り返ってみてください。本当に重要な情報がどれくらいあったか、どうでもいい情報がどれくらいあったかを客観的に分析してください。そして明日から1週間、そのグループでの発言を控えて、代わりに必要なコミュニケーションを個別の対面や電話で行ってみてください。効果の違いを実感できるはずです。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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